【保存版】タングステンの主な用途|加工方法も解説

  • 「タングステンの主な用途が知りたい!」
  • 「タングステンとモリブデンとの違いが知りたい!」
  • 「タングステンの加工方法が知りたい!」

このような悩みを解決できる記事となっています。

ご紹介する「タングステンの主な用途」を読むと、何に使えるかがわかります。

まずは「タングステンの概要」をまとめているので、ぜひ読み進めてみてください!

この記事の監修者

藤原 弘一

1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。

保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士

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タングステンとは

タングステンとは

タングステンは、金属の中で最も融点が高く、摩耗に強い性質を持ちます。熱に強いという特徴から、高温になる場所で使われたり、高性能な切削工具の材料として活用されています。

また、タングステンは比重が大きく、とても頑丈です。そのため、砲弾の材料に使われる場合もあります。金の比重とほぼ同じくらいで、鉄の約2.5倍、鉛の約1.7倍も重いのです。
さらに、タングステンは非常に硬いため、加工が難しい金属として知られています。簡単に言うと、硬すぎて削りにくいのです。それもそのはず、タングステンのモース硬度は、ダイヤモンドの「10」に次ぐ「9」という高い数値を示しています。

モース硬度10はダイヤモンドだけなので、タングステンはダイヤモンドに次いで硬い物質と言えます。この特性を活かし、金型で摩耗しやすい部分にタングステンを使うことで、金型の寿命を延ばす加工が実現しています。具体的には、低圧力鋳造型や、中子造型のシリンダーヘッド、シリンダーブロックなどに多く使われています。

ただし、タングステンは耐熱性や耐摩耗性に優れている一方で、衝撃には弱いという側面もあります。

そのため、金型を取り外す際などにハンマーなどで叩くと、割れてしまうことがあるので注意が必要です。タングステンを使う際は、良い点と悪い点をきちんと理解しておくことが大切です。

タングステンの主な用途

タングステンの主な用途

タングステンの主な用途は以下のとおりです。

  • 切削工具
  • 精密機器
  • 自動車産業
  • 半導体

順番に解説します。

切削工具

金属を切削・加工する工具は、被削材(加工される金属)との摩擦に耐え、精密な加工を維持するために、高硬度と優れた耐摩耗性が不可欠です。

エンドミル、ドリルビット、ボーリングバー、タップなどの切削工具においては、タングステン合金が主要な材料として採用されています。

また、タングステン合金の持つ高い耐摩耗性は、金型、ベアリング、歯車といった、使用中に摩耗が生じやすい部品の材料としても広く応用されています。

精密機器

タングステンは電気をよく通し、熱にも強いため、電子機器の部品として重宝されています。

特に、電気を通す部分(電極)や、光を出す部分(フィラメント)など、熱を持ちやすい部分に使われています。

電子機器では、電気の流れをスムーズにし、高温にも耐える素材が求められます。タングステンはこれらの条件を満たすため、電極やフィラメントといった重要な部品に採用されています。

自動車産業

タングステンは、高い融点と優れた高温強度を有するため、自動車エンジンの燃焼室周辺部品や排気システムなど、高温に晒される部位への適用が進んでいます。

高温環境下においても機械的特性を維持することで、エンジンの熱効率改善と部品の耐久性向上に寄与します。

半導体

タングステンは、低い電気抵抗と高い融点を有するため、微細化が進む半導体デバイスにおける配線材料として有用です。

高速信号伝送に伴う発熱に耐え、安定した電気特性を維持することで、デバイスの高性能化に貢献しています。

タングステンの未来

タングステンの未来

タングステンは希少金属の一つであり、資源の有効活用は重要な課題です。

そこで、タングステンのリサイクルは、持続可能な資源管理の重要な柱となっています。

そのプロセスは、使用済み製品の回収から始まり、含まれる不純物や他の金属などを分離するための選別、高純度のタングステンを取り出すための精製、そして新たな製品として生まれ変わらせる再製品化という段階を経て、資源の循環を実現しています。

この循環型システムによって、資源の枯渇を防ぎ、環境負荷を低減することが期待されています。

タングステンとモリブデンとの違い

タングステンとモリブデンは、高融点、低熱膨張、高比重、良好な熱伝導性など、物理的・化学的に類似した特性を示すレアメタルです。

しかし、機械的特性と熱的特性には差異が見られます。

モリブデンは比較的良好な被削性を示し、ステンレス鋼に匹敵する加工性を有する一方、タングステンは極めて硬度が高く、難削材として知られています。

また、耐熱性においては、タングステンの方がモリブデンよりも融点が高いため、高温環境下での使用に適しています。

タングステンの加工方法

タングステンの加工方法

タングステンの加工方法は以下のとおりです。

  • 旋盤加工
  • ネジ加工
  • フライス加工

順番に解説します。

旋盤加工

この加工法は、旋削加工の一種であり、タングステン素材を回転させながら切削工具を当てることで、所望の形状(円筒、球など)に成形します。

タングステンの高硬度に対応するため、高剛性工具の使用は必須であり、工具摩耗の抑制と高精度加工を実現するためには、高度な切削技術と適切な加工条件の選定が不可欠です。

この加工法は、精密な寸法精度が要求される工業部品や精密機器の構成部品の製造に広く応用されています。

ネジ加工

タングステンは脆性材料であり、延性や靭性に乏しいため、ねじ切り加工においては、ねじ山形状の精度確保、面粗度の向上、および工具寿命の維持が課題となります。

特に、タングステンの高い硬度は工具摩耗を促進し、チッピング(欠け)や構成刃先(切削屑が刃先に付着する現象)の発生を誘発するため、精密なねじ山加工は極めて困難です。

フライス加工

この加工法は、フライス加工と呼ばれるもので、回転する切削工具(フライス)を用いて、工作物(ここではタングステン)を削り出すことで、複雑な形状を創成します。

タングステンのような難削材に対しては、高硬度・高剛性の特殊なフライス工具と、精密な切削制御技術が要求されます。

この加工法は、複雑な三次元形状と高い寸法精度が要求される自動車、航空宇宙、金型などの分野で広く活用されています。

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まとめ

タングステンは、金属中で最も融点が高く、摩耗に強い希少金属です。

この特性から、高温環境下や高負荷な用途で重宝されます。比重は金と同程度と非常に重く、硬度はダイヤモンドに次ぐモース硬度9を誇ります。そのため、加工は困難ですが、その硬さを活かして金型の寿命延長に貢献しています。

主な用途は以下の通りです。

  • 切削工具: 高硬度と耐摩耗性を活かし、エンドミルやドリルビットなどに使用。
  • 精密機器: 高温に耐え、電気をよく通すため、電極やフィラメントに活用。
  • 自動車産業: 高温に晒されるエンジン部品などに使用され、熱効率向上に貢献。
  • 半導体: 低い電気抵抗と高い融点から、微細配線材料としてデバイスの高性能化に寄与。

タングステンはリサイクルも進められており、資源の有効活用が図られています。モリブデンと性質が似ていますが、タングステンの方が耐熱性に優れています。加工方法には旋盤、ネジ、フライス加工がありますが、硬度が高いため特殊な工具と技術が必要です。

特に重要な点

  • 高融点・高硬度・高比重: 他の金属にない優れた特性。
  • 難削材: 加工には高度な技術が必要。
  • 高温環境・高負荷環境での使用: その特性を最大限に活かす用途。
  • リサイクル可能: 資源の有効活用に貢献。

株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。

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