【保存版】アルミニウムの種類|用途についても詳しく解説
「アルミニウムの種類が知りたい」
「アルミニウムってどんな用途があるのかな」
などとお考えではありませんか?
本記事では、アルミニウムの種類と併せて、用途について詳しく解説します。
最後まで読むと、アルミニウムの種類について詳しくなれます。
この記事の監修者
藤原 弘一
1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。
保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士
目次
アルミニウムとは
アルミニウム(元素記号Al)は、原子番号13を持つ銀白色の金属で、その特性から多岐にわたる産業で利用されています。
この軽量で加工しやすい素材は、高い熱伝導性と電気伝導性を誇り、空気に触れると酸化皮膜を生成することで顕著な耐食性を実現します。
しかし、アルカリ性物質や塩酸、塩化物などの特定の化学物質はこの酸化層を破壊し、アルミニウムを侵すことがあります。
アルミニウムはその汎用性の高さから以下のことに利用されています。
- 化学プラント
- 飲料製造
- 電子部品
- 照明器具
- 冷却システム
- 光学機器
- 繊維製造
- 医療機器
- 薬剤容器
- 衛生用具
- 乳製品加工機器
- チューブや容器
- 建築材料
- 機械部品
- 航空宇宙
- 海運
- 自動車部品
- 家庭用品
- 家具
- 工芸品
などと幅広い用途で使用されています。
また、電線、送電線、包装材料、塗料、テルミット反応用の粉末、爆薬など、特定の用途に応じた形態での使用も一般的です。
このようにアルミニウムはそのユニークな特性と広範な応用性により、現代社会における多数の産業にとって不可欠な素材となっています。
耐久性と軽量性を兼ね備えたこの素材は、持続可能な開発とイノベーションを促進する上で重要な役割を果たしています。
関連記事:アルミニウムの加工方法|種類や加工する際のポイントも解説
アルミニウムの種類
アルミニウムの種類は以下のとおりです。
- 1000系アルミニウム(純アルミニウム系)非熱処理型合金
- 2000系合金(Al-Cu系)熱処理型合金
- 3000系合金(Al-Mn系)非熱処理型合金
- 4000系合金(Al-Si系)非熱処理型合金
- 5000系合金(Al-Mg系)非熱処理型合金
- 6000系合金(Al-Mg-Si系)熱処理型合金
- 7000系合金(Al-Zn-Mg系)熱処理型合金
順番に解説します。
1000系アルミニウム(純アルミニウム系)非熱処理型合金
1000系列のアルミニウムは、純アルミニウムを示しており、その純度は99.00%を超えています。
特に、1070および1050グレードのアルミニウムは、それぞれ99.7%以上および99.5%以上の純度を有していることを表しています。
これらの純アルミニウムにおける主な不純物は鉄とシリコンであり、これらの不純物の量が減少することにより、材料の耐食性が向上し、アルマイト処理後の表面の光沢が向上します。
純アルミニウムは、その優れた耐食性、加工しやすさ、溶接性、電気伝導性、熱伝導性によって高く評価されていますが、その弱点は低い強度にあります。
純度が高まるにつれ、通常、強度は低下する傾向があります。
このように、純アルミニウムは特定の特性を持つため、適切な用途での使用が推奨されます。
耐食性と加工性を重視する用途では、1000系列の高純度アルミニウムが理想的な選択となります。
その一方で、構造的強度が重要なアプリケーションでは、他の合金が適している場合があります。
純アルミニウムの選択と使用においては、その特性と限界を理解し、それぞれのプロジェクトに最適な材料を選定することが重要です。
1000系アルミニウム(純アルミニウム系)非熱処理型合金の用途
1000系アルミニウム(純アルミニウム系)非熱処理型合金の用途は以下のとおりです。
- 電線
- 日用品
- はく
- 装飾品
- 反射板
- 化学工業タンク類
- 熱交換器部品
- 溶接線
2000系合金(Al-Cu系)熱処理型合金
2017およびA2024は、2000系アルミニウム合金の中でも特に知られており、「ジュラルミン」や「超ジュラルミン」とも称されます。
これらの合金は、その卓越した強度で知られ、鋼に匹敵する性能を提供します。
この高い強度は、合金に銅が豊富に含まれることによって実現されていますが、この銅の添加は同時に耐食性を低下させる可能性があります。
そのため、これらの合金を腐食の可能性がある環境で使用する場合には、適切な防錆処理が必要不可欠です。
2000系アルミニウム合金は、他のアルミ合金と比較して溶接性が低いため、物体の結合にはリベットやボルトなどの機械的手段、あるいは抵抗スポット溶接が好まれます。
さらに、高温での強度を高めるためにニッケルが添加されることもあります。加工性に関しては、他のアルミ合金と比較しても優れており、加工しやすい特性を持っています。
2000系アルミニウム合金の使用は、その高強度と優れた加工性により、航空宇宙産業をはじめとする高度な工業アプリケーションで特に重宝されています。
しかし、その使用にあたっては耐食性の課題と溶接性の限界を考慮し、適切な防錆処理と結合方法の選択が求められます。
これらの合金の選定と利用において、その特性を完全に理解し、各プロジェクトの要件に最適な材料を選ぶことが成功の鍵となります。
2000系合金(Al-Cu系)熱処理型合金の用途
2000系合金(Al-Cu系)熱処理型合金の用途は以下のとおりです。
- ねじ類
- ギヤー部品
- リベット類
- 航空宇宙機器
- 油圧部品
- ゴム成形用金型
- 船舶用材等
3000系合金(Al-Mn系)非熱処理型合金
この特定のアルミニウム合金は、マンガンの適切な添加によって純アルミニウムの優れた加工性と耐食性を保持しつつ、その強度を効果的に高めた素材です。
さらに、この合金にマグネシウムを加えることで、強度をさらに向上させることが可能になります。
マンガンの添加は、純アルミニウムの基本的な特性を損なうことなく、強度を増加させるための効果的な手段です。
このプロセスにより、より耐久性のある製品が生み出され、様々な産業でのアプリケーションが可能になります。
一方、マグネシウムの追加は、この合金の強度をさらに強化し、より要求の厳しい用途に適した材料を提供します。
3000系合金(Al-Mn系)非熱処理型合金の用途
3000系合金(Al-Mn系)非熱処理型合金の用途は以下のとおりです。
- 複写機ドラム
- アルミ缶(胴部)
- 化粧板
- カラーアルミ
- 電球口金
- 屋根材等
4000系合金(Al-Si系)非熱処理型合金
4000系アルミニウム合金は、シリコンを主要な添加元素として含み、これにより熱膨張の抑制と耐磨耗性の向上が図られています。
さらに、この合金には銅、ニッケル、マグネシウムなどの元素が追加されることもあり、これらの添加物は合金の耐熱性を強化し、特に鍛造ピストン材料としての使用に適した特性を提供します。
シリコンの添加は、4000系アルミニウム合金が高温下での安定性を維持し、摩耗に対する抵抗力を高めるための鍵となります。
銅、ニッケル、マグネシウムのような他の添加元素は、さらに合金の耐熱性を高め、厳しい環境下での性能を保証します。
このような特性から、4000系アルミニウム合金は、高温での強度と耐久性が要求される用途に最適です。
特に自動車産業における鍛造ピストンなど、耐熱性と耐磨耗性が重要な部品の製造に広く使用されています。
そのため、高性能を求める製品設計において、4000系アルミニウム合金は優れた材料選択肢となり得ます。
4000系合金(Al-Si系)非熱処理型合金の用途
4000系合金(Al-Si系)非熱処理型合金の用途は以下のとおりです。
- ピストン
- シリンダヘッド
- 建築パネル
- 溶接線等
5000系合金(Al-Mg系)非熱処理型合金
マグネシウムを添加することで強度と耐食性が向上したアルミニウム合金は、その用途の広さと多様性で知られています。
マグネシウムの含有量が少なめの合金は、その美しい仕上がりから装飾品や日用品に適しており、一方で含有量が多い合金は、その高い強度から構造材料としての利用が一般的です。
このような合金の中でも、A5052は中程度のマグネシウム含有量を持ち、アルミニウム合金の中で広く利用される中強度材料の一つです。
特に、A5083合金はマグネシウムの含有量が高く、強度に優れており、海水環境や化学的に厳しい条件下での使用に適しています。
これらの特性から、A5083は船舶建造、車両製造、化学プラントの建設など、耐久性と信頼性が求められる分野で広く使用されています。
しかし、これらの合金は冷間加工後の経年により特性が変化し、強度が低下し伸びが増加することがあるため、安定化処理が必要とされます。
特にマグネシウム含有量が多い合金は、過度に冷間加工された状態で高温に曝されると応力腐食割れのリスクがあります。
このため、構造材としては通常、より柔らかい材料が選ばれます。
このようにマグネシウムを添加したアルミニウム合金は、その用途に応じて適切な処理と管理が必要ですが、適切に使用された場合にはその高い強度と耐食性により、幅広い産業分野でのニーズに応えられます。
5000系合金(Al-Mg系)非熱処理型合金の用途
5000系合金(Al-Mg系)非熱処理型合金の用途は以下のとおりです。
- 船舶
- 車両
- 建築用内外装
- 缶エンド
- カメラ鏡胴
- アルミホイール
- 化学プラント
- 圧力容器
- 板金製品等
6000系合金(Al-Mg-Si系)熱処理型合金
マグネシウムとシリコンを特定の割合で配合したアルミニウム合金は、熱処理を施すことによる時効硬化が可能であり、これにより強度と耐食性が顕著に向上します。
この合金は、特に押出し加工に適しており、その優れた加工性から幅広い構造用途に利用されています。
中でもA6063合金は、その抜群の押出し性能を活かして、建築分野でサッシやフレームなどの製造に広く採用されています。
このアルミニウム合金の熱処理能力は、製品の寿命と性能を大きく向上させる重要な特性です。
また、強度と耐食性のバランスに優れているため、建築から自動車、機械部品に至るまで、多様なアプリケーションでの使用が可能です。
特にA6063は、その美しい仕上がりと機能性を生かし、建築用アルミニウム製品の中心的な材料として位置付けられています。
このように、マグネシウムとシリコンを含むアルミニウム合金は、その熱処理による硬化能力、強度、耐食性、および優れた加工性により、特に構造用材料としての需要が高く、幅広い分野での応用が見込まれます。
関連記事:【保存版】アルミニウムの特徴10選|使用する際の注意点を解説
6000系合金(Al-Mg-Si系)熱処理型合金の用途
6000系合金(Al-Mg-Si系)熱処理型合金の用途は以下のとおりです。
- 建築用材
- 高欄
- ガードレール
- 船舶
- 車軸
- 陸上構造物
- 家具
- 家電製品
- 機械自動車部品等
7000系合金(Al-Zn-Mg系)熱処理型合金
亜鉛とマグネシウムを組み合わせたアルミニウム合金に熱処理を施すことで、アルミニウム合金の中でも特に高い強度を誇る材料が得られます。
この高強度合金は、銅を含むAl-Zn-Mg-Cu系と銅を含まないAl-Zn-Mg系の二つに大きく分類されます。
Al-Zn-Mg-Cu系の中で最も知られているのがA7075であり、その類まれな強度から「超々ジュラルミン」とも称され、航空宇宙産業やスポーツ用品の製造に広く用いられています。
しかし、A7075のような合金は、熱処理が適切に行われない場合、応力腐食割れのリスクがあるため、加工と処理には細心の注意が必要です。
この合金の優れた性能を最大限に引き出すためには、正確な熱処理プロセスの遵守が不可欠です。
このように、亜鉛とマグネシウムを添加したアルミニウム合金は、最高レベルの強度を提供できますが、その性能を維持するためには適切な処理と管理が重要です。
これらの合金は、特に要求の厳しいアプリケーションにおいて、その価値を発揮します。
7000系合金(Al-Zn-Mg系)熱処理型合金の用途
7000系合金(Al-Zn-Mg系)熱処理型合金の用途は以下のとおりです。
- スポーツ用品(金属バット・スキーストック)
- オートバイリム
- 航空機材
- 車軸等
まとめ【アルミニウムの種類を把握しましょう】
今回は、アルミニウムの種類と併せて、用途について詳しく解説しました。
アルミニウムの種類は以下のとおりです。
- 1000系アルミニウム(純アルミニウム系)非熱処理型合金
- 2000系合金(Al-Cu系)熱処理型合金
- 3000系合金(Al-Mn系)非熱処理型合金
- 4000系合金(Al-Si系)非熱処理型合金
- 5000系合金(Al-Mg系)非熱処理型合金
- 6000系合金(Al-Mg-Si系)熱処理型合金
- 7000系合金(Al-Zn-Mg系)熱処理型合金
それぞれの特徴を理解しましょう。
株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、アルミニウム・チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。
時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。
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