【保存版】チタンの歴史|名前の由来や加工が難しい理由についても解説

  • 「チタンの歴史について知りたい」
  • 「どうやってチタンって名前がついたのかな?」
  • 「チタンのメリット・デメリットが知りたい」

などとお考えではありませんか?

本記事では、チタンの歴史と併せて、チタンの名前の由来やメリット・デメリットについて解説します。

最後まで読むと、チタン誕生までの経路がわかり、より一層詳しくなれます。

この記事の監修者

藤原 弘一

1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。

保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士

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チタンの歴史

チタンの歴史

チタンは18世紀にイギリスの海岸で発見されました。

発見者は鉱物学者であり寺僧でもあったウィリアム・グレゴーで、彼は磁性を持つ黒い砂から新しい金属元素が存在することを推測しました。

この未知の元素は発見地である「メナカン海岸」にちなんで「メナカン」と名付けられました。

当時は純粋な金属チタンを抽出することは不可能でしたが、鉱砂からチタンの酸化物を抽出することは可能でした。

1910年、アメリカの科学者ハンターが純度99.9%のチタンを抽出することに成功し、純粋な金属チタンが実現しました。

チタンの商業的な実用化は1946年頃に始まり、ルクセンブルクの工学者ウィリアム・クロールが「ナトリウム還元法(ハンター法)」を基にした「マグネシウム還元法(クロール法)」を開発し、大量生産を可能にしました。

今日ではこのクロール法が一般的なチタン製錬方法として採用されており、この方法で精製されるチタンはスポンジ状態であるため、「スポンジチタン」とも呼ばれています。

関連記事:チタンの加工方法|特徴やメリットも詳しく解説

チタンの名前の由来

チタンの名前の由来

1795年、グレゴーの発見から5年後、ドイツの科学者クラブロートはルチール鉱(一種の金鉱石)の分析を行い、その中に特異な性質を持つ酸化物を発見しました。

彼はこの酸化物が新しい金属元素を含んでいると判断し、ギリシャ神話における神々と戦って敗れ、地底に封じ込められた巨人「タイタン」にちなんで、この元素に「チタン」という名前をつけました。

クラブロートのこの命名は、鉱石中に隠された元素の強力で神秘的な特性を象徴するものでした。

関連記事:チタンの種類|メリット・デメリットや使用用途を詳しく解説

チタンのメリット

チタンのメリット

チタンのメリットは以下のとおりです。

  • 軽量
  • 強度が高い
  • 耐熱性
  • サビに強い
  • 美しい
  • 安全性が高い
  • 順番に解説します。

【メリット①】軽量

チタンの最も顕著な特徴の一つはその「軽量性」です。

この特性は、比重が4.51という数値で示され、これはステンレス鋼の約60%の重量に相当します。

この軽さがチタンを工業や技術分野で非常に魅力的な材料にしています。

【メリット②】強度が高い

チタンの主要な特性としては、その高い比強度が挙げられます。

比強度が高いとは、材料が軽量でありながら高い強度を持つことを意味します。

例えば、アルミニウムはチタンよりも軽い金属ですが、チタンに比べて強度は劣ります。このため、同等の強度を持つ製品を作る場合、チタンを使用する方がアルミニウムよりも軽量な製品が製造できます。

これにより、チタンは強度を犠牲にすることなく軽量化を実現するため、日用品の調理器具や食器、スポーツ用品のゴルフクラブやテニスラケットなど多岐にわたる用途に利用されています。

【メリット③】耐熱性

チタンは、他の多くの主流金属よりも優れた耐熱性を有しています。

例を挙げると、鉄が約1530度で溶けるのに対し、銅は約1080度、アルミニウムは約660度で溶けるのに対して、チタンは約1660度まで耐えることができます。

さらに、チタンは500度程度の高温でも強度を保つことが可能であるため、原子力発電所や火力発電所などの高温環境下で使用される部材としても適しています。

このような特性から、チタンは高温にさらされる状況での用途に広く採用されています。

【メリット④】サビに強い

チタンは、その表面に安定な酸化膜を形成する特性により、他の金属と比較して錆に対する耐性が高い金属です。

この耐錆性は、製品の品質を長期間保持することを可能にし、メンテナンスの頻度やコストを低減させる利点を提供します。

これらの特性のため、チタンは特に宇宙産業や航空産業で好んで使用されています。

さらに、海水に対しても高い耐食性を持つため、海洋産業や船舶建造などの分野でも広く採用されています。

【メリット⑤】美しい

チタンは独特な表面処理を施すことで、100種類以上の豊富な色彩を発現することが可能です。

この多彩な色合いは、チタンの表面に生成される酸化膜の厚さを調節することで実現されます。

この柔軟な色の変化能力により、チタンはデザインの可能性を大きく広げており、アクセサリーの領域に留まらず、インテリアや日用品など、多様な分野での応用が進んでいます。

指輪やネックレスなどの装飾品から、家庭用品に至るまで、その用途は広がり続けています。

【メリット⑥】安全性が高い

チタンは、アクセサリーや医療機器など人体と直接接触する用途で使用される際に、その優れた生体適合性が重要な役割を果たします。

体に触れる製品や体内に挿入される医療機器には、毒性がなく、金属アレルギーを引き起こさない材料が求められます。

多くの金属、例えば鉛や水銀のような有毒な金属や、ニッケルやコバルトのようにアレルギー反応を引き起こす可能性がある金属は、これらの用途には不適切です。

しかし、チタンは無毒であり、また表面に安定した酸化皮膜を形成することで金属イオンの溶出を防ぐため、金属アレルギーのリスクが低いです。

これにより、チタンは身体に接触する製品や医療機器に安全に使用できる金属として広く利用されています。

関連記事:チタンの溶接方法|溶接が難しいとされる理由についても解説

チタンのデメリット

チタンのデメリット

チタンのデメリットは以下のとおりです。

  • 剛性が低い
  • 高価格

順番に解説します。

【デメリット①】剛性が低い

チタンは、銅やアルミニウムと比べて比較的低い比剛性を持つ金属です。

これは、チタンが他の一部の金属に比べてより変形しやすい性質を持つことを意味します。

この特性のため、チタンは細かく長い形状への加工には不向きです。

【デメリット②】高価格

チタンは、そのコストが比較的高い金属です。

これは、チタンの原料である酸化チタンが地球上で豊富に存在しているにもかかわらず、希少金属ではないにもかかわらず高価である理由につながります。

チタンが高価である主な理由は、原料の酸化チタンを金属チタンに精製する過程が複雑で手間がかかるためです。

この精製プロセスの難しさが、チタンの価格を高める主要な要因となっています。

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チタンの加工が難しいといわれている3つの理由

チタンの加工が難しいといわれている3つの理由

チタンの加工が難しいといわれている3つの理由は以下のとおりです。

  • 発火しやすい
  • 変形しやすい
  • 工具の消耗が激しい

順番に解説します。

発火しやすい

チタンは摩擦耐性が比較的低く、加工時に発生する粉末が自然発火するリスクがあるため、注意が必要です。

チタンの粉末が燃焼を始めた場合は、特に金属火災に対応した消火剤を使用して消火することが推奨されます。

変形しやすい

チタンは優れたばね特性を持ち、加工中に容易に変形する性質があります。

このため、加工したチタンを正確な寸法と高品質で仕上げるには、高度な技術と経験を有する職人や、適切な設備が必要になります。

工具の消耗が激しい

チタンは引張強度が高い特性を持つため、加工する際に工具にかかる負荷が大きくなり、工具の摩耗や損傷が頻繁に生じます。

さらに、チタンの熱伝導率が低いため、加工中に生じた熱が工具に蓄積しやすく、これが工具の耐久性にさらなる負担をかけます。

まとめ【チタンの歴史をたどって理解しましょう】

今回は、チタンの歴史と併せて、チタンの名前の由来やメリット・デメリットについて解説しました。

チタンは18世紀にイギリスの海岸で発見されました。

ギリシャ神話における神々と戦って敗れ、地底に封じ込められた巨人「タイタン」にちなんで、「チタン」という名前をつけました。

株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。

時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。

他社には負けない、業界トップクラスの技術があります。

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