チタンの溶接方法|溶接が難しいとされる理由についても解説

「チタンの溶接方法が知りたい」

「なんでチタンの溶接が難しいといわれているのかな」

などとお考えではありませんか?

本記事では、チタンの溶接方法と併せて、溶接が難しいとされる理由について解説します。

最後まで読むと、チタンの溶接方法がわかり、依頼できます。

この記事の監修者

藤原 弘一

1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。

保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士

チタンの溶接方法

チタンの溶接方法

チタンの溶接方法は以下のとおりです。

  • ティグ溶接
  • ミグ溶接
  • プラズマ溶接
  • 電子ビーム溶接
  • レーザビーム溶接
  • 抵抗溶接

順番に解説します。

ティグ溶接

一般的なチタン溶接では、溶接電流、溶接速度、パス数、タングステン電極の直径、フィラー材の径、シールドガスの流量に注意を払う必要があります。

溶接極性は、直流の「棒マイナス」で行います。タングステン電極の先端の角度は、40~43°になるように調整するのが理想的です。

また、交流を使わないようにします。なぜなら、タングステン電極が溶接金属に溶け込み、低い融点の共晶(W-Ti)生成物を形成するリスクがあるためです。

トーチのガスノズルには、ガスレンズ付きのものを使用することが推奨されます。

これは、通常のガスノズルでは溶接面でのガスの層流が不十分になり、広範囲のシールドが難しくなるためです。

また、チタン溶接では、ウィービング溶接(左右に動かす方法)は避けます。

TIG溶接装置については、チタン溶接に特有の機能が求められます。

具体的には、溶接アークをタッチスタートしないようにする高周波発生装置を備えることと、アーク消滅後に電極と溶接部分が冷却中に酸化しないように、一定時間シールドガスを流すためのタイマー機能が必要です。

また、溶接姿勢を変えずに電流を停止できるよう、ペダルスイッチを活用する工夫も重要です。

このような注意点と機能を備えることで、チタン溶接の品質と安全性を向上させられます。

ミグ溶接

ミグ溶接では、直流棒プラスの定電圧特性を利用します。

一方で、ティグ溶接とは異なり、細径のソリッドワイヤを使用しています。

細径のソリッドワイヤを採用することで、電流密度と溶融効率が向上し、溶接速度も高速化されます。

これにより、厚板の溶接に適しており、効率的な溶接が可能です。

ただし、高電流と高速溶接のため、適切なガスシールド治具の選択が重要です。

より大きく広い治具を使用する必要があります。

プラズマ溶接

通常のプラズマ溶接では、アークを集束させるためにセンターガスとして水素ガスが使われます。

ただし、チタンは水素を吸収すると脆くなるため、溶接部に水素化物が形成される可能性があります。

そのため、チタンの溶接には純アルゴン、ヘリウム、またはそれらの混合ガスを使用し、水素ガスは避ける必要があります。

プラズマアーク溶接は、ティグ溶接と同等の継手性能を持ち、溶接部が深く溶け込むため、薄板の溶接に適しています。

また、溶接時に溶加材が不要な点も特徴的です。

電子ビーム溶接

チタンの溶接には、大気を遮断した真空容器内で行うプロセスが理想的です。

これにより、水素化物の形成を避けられます。

しかし、この方法には被溶接部の形状や寸法に制約があります。

また、溶接設備の導入コストが高額であるため、一般的な溶接方法として普及するには特別なケースが必要です。

レーザビーム溶接

レーザー加工機では、レーザー光の強度やスポットの大きさを調整することで、溶接や母材表面への模様や文字の描画、そして切断などの加工が可能です。

レーザー溶接は、通常の加工よりも強力なレーザー光を使用し、これを熱源として母材を溶かして接合する技術です。

抵抗溶接

この接合方法は、電気を流すことで被溶接物が発熱し、その抵抗加熱を利用しています。

通常は、被溶接物を上下から電極で挟んで加圧しながら電流を流します。

電圧が低いため、作業者の安全性が高く、操作や保守が容易です。

また、コストパフォーマンスも高く、自動車のボディからスマートフォンの部品まで、さまざまな製品の製造で幅広く利用されています。

関連記事:チタンは錆びるのか?用途やメリット・デメリットを解説

チタンの溶接が難しいとされる理由

チタンの溶接が難しいとされる理由

チタンは、溶接が難しいとされる金属の一つです。

チタンの溶融点が非常に高く、400〜500℃の比較的低温でも大気中の酸素と反応して酸化してしまいます。

このため、チタンを溶接する際には高温で作業を行わなければならず、その過程で酸化が起こりやすくなります。

酸化したチタンは非常に硬く、加工性が低下してもろくなります。

これが、チタンの溶接が難しいとされる最大の原因です。

さらに、チタンは他の金属よりもブローホール(気泡)が発生しやすい特性も持っています。

このような理由から、チタンの溶接は高い技術と注意が必要であり、一部の業者では溶接作業を断ることもあります。

関連記事:チタンの加工方法|特徴やメリットも詳しく解説

チタン溶接のツールと機器

チタン溶接のツールと機器

チタン溶接に使用されるツールと機器は、他の金属溶接と比較していくつかの特殊な要件があります。以下は、チタン溶接に必要な主なツールと機器のリストです。

  • 溶接機
  • シールドガス供給装置
  • フィラー材料
  • 溶接トーチとノズル
  • 溶接テーブルおよびジグ
  • 安全装備
  • 溶接モニタリングツール

順番に解説します。

溶接機

TIG溶接機:チタン溶接では、タングステン・イナート・ガス(TIG)溶接が最も一般的です。高い温度で正確な溶接を行えるため、チタン溶接に適しています。

レーザー溶接機:チタンの薄い部材や高精度が必要な場合に使用されます。

電子ビーム溶接機:厚みのあるチタン部材の溶接に適しており、真空環境で使用されます。

シールドガス供給装置

アルゴンガス供給装置:チタンは酸素や窒素に敏感なため、溶接中にアルゴンガスで保護する必要があります。ガス供給装置は、適切な流量と圧力を維持できるものを選びます。

フィラー材料

チタン製フィラー:チタン溶接に適したフィラー材は、溶接部の強度や耐食性に影響します。溶接するチタンの種類に合ったフィラーを選ぶことが重要です。

溶接トーチとノズル

冷却機能付きトーチ:チタンは高温で溶接されるため、トーチの過熱を防ぐために冷却機能があるものが適しています。

適切なノズル:シールドガスの流れを安定させるために、適切なノズルを選びます。

溶接テーブルおよびジグ

安定した溶接テーブル:溶接中の振動や動きを防ぐため、安定したテーブルを使用します。

カスタムジグ:部材を固定し、正確な溶接を可能にするためにカスタムジグが使用されます。

安全装備

溶接用ヘルメット:溶接時の強い光から目を保護します。

耐熱手袋とエプロン:高温から肌を保護します。

換気装置:溶接中に発生するガスや煙を排出するため、換気装置が必要です。

溶接モニタリングツール

温度計:溶接部の温度を測定し、適切な温度範囲を維持します。

品質チェックツール:溶接の品質を確認するためのツールで、超音波検査やX線検査などが含まれます。

以上のツールと機器を揃えることで、チタン溶接の高い品質と安全性を確保できます。特にシールドガスの供給と温度管理が重要であるため、これらの要素に注意を払うことが必要です。

溶接に向いていない金属

溶接に向いていない金属

金属の溶接には、材料ごとに向き不向きが明確にあります。

一般的に、銅、真鍮、アルミニウムは溶接が難しい材料です。

これは、それらの金属が熱伝導率が高く、溶接時に熱が均等に分散されず、溶接プロセスが制御しにくいためです。

一方、鉄やステンレスは比較的溶接が容易な材料です。

しかし、アルミニウムや鉄の中でも材質によっては溶接に適しているかどうかが異なるため、判断が難しくなることもあります。

したがって、溶接作業を行う際には、材料の特性や溶接方法について慎重に考慮する必要があります。

まとめ【チタンの溶接方法を理解しましょう】

今回は、チタンの溶接方法と併せて、溶接が難しいとされる理由について解説しました。

チタンの溶接方法は以下のとおりです。

  • ティグ溶接
  • ミグ溶接
  • プラズマ溶接
  • 電子ビーム溶接
  • レーザビーム溶接
  • 抵抗溶接

それぞれの特徴を押さえましょう。

株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。

時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。

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