真空チャンバーは何に使う?選び方や注意点についても解説
- 「真空チャンバーって何に使うのかな?」
- 「真空チャンバーの選び方が知りたい!」
- 「真空チャンバーに使われる材質ってなんだろう?」
こんな悩みを解決できます!
ご紹介する「真空チャンバーの選び方」を読むと、失敗を防げます。
まずは「真空チャンバーの用途」解説していますので、ぜひ読み進めてみてください!
この記事の監修者
藤原 弘一
1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。
保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士
目次
真空チャンバーは何に使うのか?
プラズマ処理
真空チャンバー内で電気エネルギーを用いることで、ガスをプラズマに変えることが可能です。
このプラズマを利用した処理は、素材の表面を活性化したり、クリーニング、エッチング、さらには薄膜を形成するのに役立ちます。
表面処理
光学コーティングや半導体製造において、真空チャンバーを用いた表面処理技術が重要な役割を果たします。
真空状態で金属などを蒸発させ、これを基板や素材の表面に堆積させることにより、薄いフィルム層を形成することができます。
材料の乾燥・水分除去
真空チャンバーで圧力を低下させると、液体は気体に変化します。この原理を応用して、食品の乾燥や素材からの水分除去が行われます。
材料研究
真空チャンバーを使用することで、気体や水分の干渉を排除し、材料の物理的特性を正確に評価することができます。
これは、材料の物性を研究する際や、表面処理技術の開発、耐食性や耐久性のテストにも活用されます。
複合部品の製造または鋳造
真空状態を活用することで、材料を均一に混ぜ合わせることが可能です。
しかし、接着剤やエポキシ樹脂からのガス放出が適切に管理されていない場合、製品の汚染や不良が生じる可能性があり、これを防ぐためには細心の注意が求められます。
半導体製造
半導体製造における多くの工程では、CVD装置、エッチング装置、スパッタリング装置、EUV露光装置など、真空チャンバーが活用されています。
これらの装置は薄膜の生成、微細構造の加工、高融点金属や合金の成膜、精密な回路パターンの製作といった、半導体の製造に欠かせない重要な工程で使用されます。
滅菌処理
過酸化水素を真空容器内に噴霧し、マイクロ波を当てることで過酸化水素ガスのプラズマが生成されます。
この技術は「低温ガスプラズマ滅菌」と呼ばれ、微生物を迅速に死滅させる方法であり、残留毒性を残さないのが特徴です。
核融合実験
核融合実験では、真空チャンバーが重要な役割を果たしています。
核融合研究の進展に伴い、装置のサイズが拡大しており、私たちの会社は超大型の真空チャンバーを製作する技術も持っています。
これらのチャンバーはそのサイズから陸上での輸送が困難なため、特別な対応が必要です。
出典:真空チャンバーとは?使用用途・原理・選び方|設計製作のコミヤマ
真空チャンバーの選び方
用途と真空度の要求
真空チャンバーを選ぶ際に最も重要なのは、必要とする真空度です。例えば、高真空や超高真空が必要な科学実験では、漏れが少なく、ガス放出率の低い材質を選ぶ必要があります。
用途に応じて、ポンプの種類(ロータリーポンプ、ターボ分子ポンプなど)も考慮に入れます。
材質
主に使用される材質にはステンレス鋼、アルミニウム、ガラスなどがあります。ステンレス鋼は耐久性が高く、高真空に適していますが、重いです。アルミニウムは軽量で加工が容易ですが、ステンレスよりもガス放出率が高い場合があります。
腐食性のある物質を扱う場合は、内部に特殊なコーティングが施されたチャンバーを選ぶことが重要です。
接続口とアクセサリ
使用する機器やセンサーに応じて必要な接続口の数や種類を確認します。フランジやOリングなどの接続部品も品質が高いものを選ぶことで、長期間にわたり高い密閉性を維持できます。
メーカーとサポート
真空チャンバーを提供するメーカーの技術サポートや保証内容も選定の重要なポイントです。故障時の対応や部品の供給能力も事前に確認しておくと安心です。
使用時の注意点
漏れチェック
定期的な漏れチェックは、真空チャンバーの性能維持に不可欠です。ヘリウムリークディテクターなどを使用して微小な漏れも発見し、修理します。
シール面の清掃とメンテナンスを怠らないことが重要です。汚れや異物が原因で漏れが発生することがあります。
圧力変化への注意
真空チャンバー内部の急激な圧力変化は、ガラス製の窓などを損傷させる原因になります。ポンプの調整やバルブ操作には注意が必要です。
静電気対策
高真空状態では、静電気が発生しやすくなります。静電気による損傷を防ぐため、適切なアース接続を行い、静電気対策用の材料を使用することも検討します。
使用後の処理
使用後は、真空チャンバー内の汚れや残留物を適切に清掃し、次回使用時に影響が出ないようにします。特に有害な物質を扱った場合は、専門的なクリーニングが必要です。
これらの詳細なポイントを踏まえ、真空チャンバーの選定と使用において、最適な操作とメンテナンスを行うことができます。
真空チャンバーに使われる材質
真空チャンバーに使われる材質は、その用途、必要な真空度、耐久性、コスト、および化学的安定性によって選ばれます。以下は、真空チャンバーに一般的に使用される材質の概要です。
ステンレス鋼
- 特徴:耐腐食性が高く、高い真空度に耐えることができるため、科学実験や半導体製造などの高真空アプリケーションで広く利用されています。
- 利点:高い機械的強度と耐熱性を持ち、長期間にわたって安定した性能を維aintain ます。また、表面が滑らかでガス放出率が低いため、真空状態を効果的に維持します。欠点:重量が重く、価格が高めです。
アルミニウム
- 特徴:軽量で加工が容易なため、扱いやすく、さまざまな形状に成形することが可能です。
- 利点:良好な熱伝導率を持ち、表面処理を施すことで耐腐食性を高めることができます。また、ステンレス鋼に比べてコストが低いです。
- 欠点:ガス放出率がステンレス鋼よりも高いため、超高真空では使用が制限されることがあります。
セラミックス
- 特徴:非常に高い温度で使用することが可能で、化学的に安定しており、非導体であることが多いです。
- 利点:耐腐食性が非常に高く、高真空や超高真空環境でも使用できます。
- 欠点:加工が難しく、コストが高いです。
テフロン(PTFE)
- 特徴:ガス放出率が非常に低く、化学的に安定しているため、特定の化学物質を扱う実験に使用されることがあります。
- 利点:耐腐食性が高く、非常に滑らかな表面を持っています。
- 欠点:高温に弱く、機械的強度が低いため、限定的な用途に留まります。
これらの材質は、真空チャンバーの設計と使用環境に応じて選ばれ、特定のアプリケーションに最適な材料を選択することが重要です。
まとめ
真空チャンバーは、科学研究、半導体製造、材料の乾燥など多岐にわたる用途で使用されます。その選び方としては、必要な真空度、材質、接続口、メーカーのサポートを重視することが重要です。また、使用時には定期的な漏れチェックや適切なメンテナンスが必要です。
重要なポイント
- 用途と必要な真空度に基づいて真空チャンバーを選定。
- 材質は使用環境によりステンレス鋼、アルミニウム、セラミックなどから選ぶ。
- 使用後はチャンバーの清掃とメンテナンスが不可欠。
この記事を参考にぜひ、真空チャンバーを活用しましょう!
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