チタンは錆びるのか?用途やメリット・デメリットを解説
- 「チタンは錆びるのかなー」
- 「チタンのメリットってなんだろう」
などとお考えではありませんか?
本記事では、チタンが錆びにくい理由と併せて、チタンの用途やメリット・デメリットについて解説します。
最後まで読むと、なぜチタンが錆びにくいのかわかります。
この記事の監修者
藤原 弘一
1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。
保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士
目次
チタンは錆びるのか?
結論として、チタンは非常に錆びにくい金属です。
チタンは、酸素との親和性が非常に高い金属です。
この性質により、チタンは酸素と接触するとすぐにその表面に酸化膜を形成します。
この膜は非常に堅固で安定した不動態の膜であり、そのためチタンはそれ以上酸素を吸収しなくなります。
この酸化膜が形成されることで、さらなる酸化が防がれます。
このプロセスが、チタンが錆に非常に強い、事実上錆びないとされる理由です。
厳密には、チタンの表面には実際に錆が形成されていますが、この膜によってそれ以上の錆の進行が阻止されるため、「チタンは錆びない」と表現するのは妥当と言えるでしょう。
金属腐食の定義
腐食とは、金属が周囲の環境にある物質と反応し、結果として金属が徐々に劣化していくプロセスのことです。
この反応は化学的または電気化学的な性質を持ち、金属の表面から徐々に金属が分解されたり、他の化合物に変化していきます。
化学的腐食は、水分を含まない乾燥状態で起こります。
これは主に高温の空気や反応性の高いガスが原因で、金属が酸化して腐食する現象を指します。
一方、電気化学的腐食は、土や水などの電解質の存在下で起こる湿った状態での腐食を指し、金属が電解質との反応によって消耗していく現象を意味します。
チタンは海水に濡れると錆びるのか
チタンは、海水や淡水に晒されても錆びない特性を持っています。
この金属は、海水に対する耐食性においては、白金と同等のレベルを示します。
酸素との接触があると、チタンはすぐに酸化し、一度酸素と結合すると、その分離は非常に困難です。
この酸化過程で、チタンの表面には非常に薄いチタン酸化物の膜(不動態膜)が形成されます。
この膜はチタンを外部環境から守るバリアの役割を果たし、酸素や腐食性のある酸、海水など様々な腐食性環境からチタンを保護します。
特筆すべきは、このチタンの不動態膜が他の金属と比較しても特に頑強であることです。
この特性が、チタンの顕著な耐蝕性を実現する主要な理由となっています。
関連記事:チタンとステンレスの違いとは?それぞれの特徴についても解説
チタンとステンレスはどっちが錆びにくいのか
チタンとステンレスは両者ともに錆に強い特性を持つ金属ですが、塩化物イオンに対する耐性ではチタンがステンレスよりも優れています。
このため、海岸のような塩分を多く含む環境や、汗を多くかく環境では、チタン製の製品がその耐食性をより効果的に発揮できます。
チタン製品は、どのような環境下でも錆や金属アレルギーの心配なく、安心して使用することが可能です。
チタンのメリット5選
チタンのメリットは以下のとおりです。
- 軽量性
- 耐熱性
- 強度が高い
- 熱伝導率が低い
- 高い生体適合性
順番に解説します。
【チタンのメリット①】軽量性
純チタンの比重は4.51(チタン合金の場合は4.8)であり、これを他の金属と比較すると、鉄の約60%、銅の約50%程度の重さであることが分かります。
この数値から、チタンが鉄や銅に比べて相対的に軽い金属であることが理解できます。
【チタンのメリット②】耐熱性
チタンは、空気中で自然にその表面を保護する膜を形成することで錆びにくいという利点があります。
特に、海水に対する耐食性は、白金(プラチナ)に劣らない程の強度を持っています。
これにより、鉄や銅などの他の主要金属と比較しても、チタンは優れた耐蝕性を有していると言えます。
【チタンのメリット③】強度が高い
チタンは、その高い強度で知られる金属です。
この金属はステンレスと比較しても、比重に対する強度が優れているとされています。
加えて、チタンは軽量であるため、製品の重量を減らすことが可能です。
これらの特性により、航空機やロケットなど、高い強度が必要とされる分野での部品製造に広く利用されています。
【チタンのメリット④】熱伝導率が低い
チタンの熱伝導率は17 W/mKで、これは鉄の約4分の1、銅の約23分の1に相当します。
これにより、他の金属と比較して、チタンは温度変化に対して敏感で、すぐに温まりやすく、また冷めやすい特性を持つと言えます。
この特徴から、チタンは鍋などの調理器具にも使用されることがあります。
【チタンのメリット⑤】高い生体適合性
チタンは、人間の体に対して安全な金属であるという特性を持っています。
金属アレルギーのある人にとっても、アレルギー反応を引き起こす可能性が低く、また無毒性であるため、ペースメーカーや人工関節などの医療用途にも広く用いられています。
金属アレルギーの原因は、金属が汗などの水分と反応してイオンを生成することです。
しかし、チタンはイオンの生成が極めて少ないため、アレルギーを誘発することが少ないとされています。
チタンのデメリット
チタンのデメリットは以下のとおりです。
- 価格が高い
- 加工が難しい
順番に解説します。
【チタンのデメリット①】価格が高い
チタンの主な欠点の一つは、その高価さです。
例えば、高強度で知られるステンレスと比較しても、チタンは約10倍の価格がかかることがあります。
この高価格の背景には、チタン鉱石から純粋なチタンを抽出する過程が、他の鉄鋼金属と比較して複雑で、多くの工程と大量の電力を必要とするため、コストが高くなるという理由があります。
【チタンのデメリット②】加工が難しい
チタンはその高い強度が利点として挙げられますが、反面、加工することが難しいというデメリットも存在します。
チタンの加工には、溶接、プレスによる形成、切削などが含まれますが、これらの作業は特に複雑であり、用途に応じた特殊な手法と高度な技術が求められます。
チタンの用途
チタンの用途は以下のとおりです。
- 装飾品
- 乗り物
- 屋外の施設
順番に解説します。
【チタンの用途①】装飾品
チタンは、その錆びにくさ、低温感のなさ、軽量さ、そして美しい外見から、装飾品に適しています。
装飾品が錆びたり、肌に悪影響を及ぼすことは避けたいものです。
また、チタンはアレルギー反応を引き起こしにくいため、指輪やネックレス、イヤリングなど肌に直接触れるアイテムとしても安心して使用できます。
【チタンの用途②】乗り物
ほとんどの乗り物は屋外で使用されるため、錆びにくい耐食性と強度が求められます。
このような条件下で、チタンは理想的な素材となります。自動車から飛行機、自転車、船、さらには宇宙船に至るまで、その強度、軽量性、および耐食性により、チタンはこれらの乗り物のさまざまな部品や製品に適しています。
【チタンの用途③】屋外の施設
チタンは雨や海水にさらされても錆びないため、屋外施設や設備に非常に適しています。
屋根、壁、橋、トンネルなどの構造物から、メンテナンスがほとんど必要ない配管や手すりなどのインフラ設備に理想的です。
さらに、オブジェやモニュメントをチタンで作ると、その強度と見た目の高級感が特徴的な作品を生み出せます。
まとめ【チタン錆びる可能性が低い】
今回は、チタンが錆びにくい理由と併せて、チタンの用途やメリット・デメリットについて解説しました。
チタンのメリットは以下のとおりです。
- 軽量性
- 耐熱性
- 強度が高い
- 熱伝導率が低い
- 高い生体適合性
株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。
時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。
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