チタンの用途とは?特徴や歴史も詳しく解説
- 「チタンの用途ってなんだろう」
- 「チタンが活用されているものを知りたい」
- 「チタンにはどんな特徴があるのだろう」
などとお考えではありませんか?
本記事では、チタンの用途と併せて、チタンの特徴や歴史を解説します。
最後まで読むと、何にチタンが使われているかわかります。
この記事の監修者
藤原 弘一
1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。
保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士
目次
チタンの用途
チタン素材は最初、主に航空機やロケットに使用されていました。
しかし、製造技術が進歩し、コストが削減されたことで、使用範囲が拡大しました。現在では、原子力発電所や化学プラント、海洋構造物、建築用屋根材、ゴルフクラブ、人工関節など、様々な分野で需要が高まっており、その用途はますます多様化しています。
- 電力・海水淡水化プラント
- 化学プラント・電解設備
- 自動車・二輪車
- 航空宇宙
- プレート式熱交換器
- 海洋土木
- 建築・モニュメント
- 医療
- 民生品
電力・海水淡水化プラント
- タービンブレード
- 海水淡水化装置
- 復水器
- H3:化学プラント・電解設備
- 電極
- 貯蔵槽
- 配管・バルブ
- 熱交換器
- タンクローリー
自動車・二輪車
- エンジン部品(コンロッド、バルブ、リテーナー、スプリング)
- サスペンション
- マフラー(排気管)
航空宇宙
- エンジン部品
- ロケット部品
- 燃料タンク
- 機体構造材
プレート式熱交換器
- 石油・天然ガスプラント
- 発電プラント
- 船舶
- 食品加工
海洋土木
- 鋼管杭防食カバー
- 海上橋脚
- 金具(密閉用ハンドル、キャッチクリップ)
建築・モニュメント
- 屋根材
- 内外壁
- 床材
- 色建材
- モニュメント
- 手摺
- H3:医療
- 人工骨
- 心臓弁
- 心臓ペースメーカー
- 手術用器具
- 歯根
民生品
- メガネフレーム
- 時計
- ゴルフ用品
- カメラ
- 装飾品
- 中華鍋
- 自転車
- 登山用具
- 剣道面
チタンの特徴
チタンの特徴は以下のとおりです。
- 高比強度
- 高耐食性
- 軽金属
- 無害・生体適合性
順番に解説します。
【チタンの特徴①】高比強度
チタンはその高い強度で知られており、特に比重に対する強度がステンレスよりも優れているとされています。
加えて、その軽量性により、製品の重量を減らせれます。
これらの特性から、高い耐久性が必要とされる航空機やロケットの部品製造において、チタンが広く利用されています。
【チタンの特徴②】高耐食性
チタンの大きな利点の一つは、その高い耐錆性です。
特に、海水や塩水に対する耐性が強く、その耐食性はプラチナと同等とされており、鉄、銅、アルミニウムなどの一般的な金属よりも優れています。
この特性を活かして、チタンは海洋構造物の建材として広く用いられています。
【チタンの特徴③】軽金属
チタンはその軽量性において特筆すべき特徴を持ちます。
一般的な鋼やステンレス鋼の約60%の重量しかなく、銅に比べてもその重量は半分です。アルミニウムよりは重いものの、高い耐久性と軽量性のバランスが優れているため、特に部品の軽量化を目指す場合にチタンが選ばれることが多いです。
この特性は、航空機の部品製造においても活かされています。
【チタンの特徴④】無害・生体適合性
チタンのもう一つの顕著な特性は、その生体適合性と無害性です。
特に、金属アレルギーを起こしにくい性質が重要です。
金属アレルギーは金属イオンが汗に溶け出すことで発生することが多いですが、チタンは空気中の酸素と反応して酸化膜を形成するため、金属イオンの溶出を防ぎ、アレルギー反応を引き起こしにくいとされています。
この特徴は、ピアスやアクセサリーの素材、歯科インプラント治療においても有効に活用されています。
また、チタンは熱伝導率が低いため、熱が移動しにくく、使用時の不快感が少ないという利点もあります。
例えば、チタン製のコップは温かい飲み物を入れても外側が熱くなりにくく、使用者にとって快適です。
このような特性により、チタンは多くのアイテムの製造において高い利便性を提供します。
チタンの歴史
チタンは、古代から使われてきた銅や鉄とは異なり、比較的最近の1790年にイギリスで初めて発見されました。
この新しい金属元素は、鉱物学者ウイリアム・グレゴーによって採取された砂から発見され、「メナカン」と名付けられました。
その5年後の1795年には、ドイツの科学者マルティン・ハインリヒ・クラプロードによって再発見され、「チタン」と命名されました。
この名前の由来は、ギリシャ神話に登場するオリンポスの神々と戦った巨人ティーターンからきています。
初期の段階では、チタンと鉱砂を分離する技術がなかったため、純粋なチタンの抽出は1910年まで待たなければなりませんでした。
1946年に大量生産の方法が確立され、チタンの実用化が進み始め、日本では1970年代から民間での利用が広がりました。
日本国内の加工業者は技術を蓄積し、現在では電力、医療、工業製品など様々な分野でチタンが利用されています。
歴史は浅いものの、チタンは今もなお進化を続けており、その将来性には大きな期待が寄せられています。
チタンの欠点
チタンの欠点は以下のとおりです。
- 価格が高い
- 加工が難しい
価格が高い
チタンはステンレスと比較して、重量比で約10倍の価格差があるとされています。
チタンの製造プロセスは、チタン鉱石(原料)から四塩化チタンという中間材料を経て、「マグネシウム還元法」によってスポンジチタンを生成する手順を踏みます。
このプロセスでは、還元と真空分離のために大量の電力を消費する必要があり、生産効率が他の鉄鋼材料に比べて低いため、コストが大幅に上昇するのが一般的な状況です。
加工が難しい
チタンの低い熱伝導率の特性により、加工時に熱が工具に溜まりやすく、これが切削刃に大きなストレスを与えることがあります。
結果として、工具の摩耗や破損が発生するリスクが高まります。
このため、チタンの加工には豊富な経験と高度な技術が不可欠です。
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まとめ【チタンの用途はさまざま】
今回は、チタンの用途と併せて、チタンの特徴や歴史を解説しました。
チタンの用途は以下のとおりです。
- 電力・海水淡水化プラント
- 化学プラント・電解設備
- 自動車・二輪車
- 航空宇宙
- プレート式熱交換器
- 海洋土木
- 建築・モニュメント
- 医療
- 民生品
株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。
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