ステンレスの用途とは?種類ごとの特性・メリット・デメリットを解説

  • 「ステンレスの用途ってなんだろう?」
  • 「キッチン用品と工具で、使われているステンレスが違うのはなぜ?」
  • 「もっと長持ちさせたいけど、どのステンレスを選べばいいの?」

そんな疑問や悩みを抱えていませんか?

この記事を読めば、代表的なステンレスの種類ごとの「得意なこと」と、それがどんな場所で活かされているのかがスッキリ分かります!

適切なステンレスを選ぶ知識があれば、製品の性能を最大限に引き出したり、無駄なコストを削減したりすることも夢ではありません。

あなたの疑問を解決しましょう!

この記事の監修者

藤原 弘一

1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。

保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士

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ステンレスとは

ステンレスとは

ステンレスは英語で「stainless steel」と言い、日本語の正式名称は「ステンレス鋼」です。「stainless」は「さびない」、より正確には「さびにくい」という意味合いになります。

これは鉄(Fe)を50%以上主成分とし、クロム(Cr)を10.5%以上含む合金です。最大の特徴は、その名の通り「さびにくい」ことにあります。

他の材料に比べて使用量が急激に伸びました。現在では国民一人あたり年間約30kg(熱間圧延材ベース)も使用されるほどです。使用量が増えた理由は、ステンレス素材自体の優れた特性による用途拡大が挙げられます。また、製造・加工技術の向上も大きく貢献しているでしょう。

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ステンレスの用途【種類別】

ステンレスの用途【種類別】

種類別のステンレスの用途を順番に解説します。

オーステナイト系

炭素0.15%以下、クロム16~20%、ニッケル8%以上を含むステンレス鋼があります。この鋼材は耐食性が非常に強く、溶接性にも優れる点が特徴です。熱処理で硬化しない代わりに、靭性(粘り強さ)が高いという性質を持ちます。

全ステンレス鋼生産量の約6割を占めるほど、広く利用されている金属材料です。錆びにくさや放熱性の高さから、電気機器部品など多岐にわたる製品に採用されています。代表例としては、SUS303、SUS304、SUS316などが挙げられるでしょう。

フェライト系

基本的にニッケルを含まず、硫黄系ガスに腐食しにくいステンレス鋼があります。耐食性が高く、熱処理による硬化も少ないです。そのため、加工後も軟らかさを保てます。

この加工性の良さから、建築内装材やガス・電気機器の部品に多用される素材です。磁性を持つ、つまり磁石につく点も特徴と言えるでしょう。比較的安価で溶接性も高いので、建具や家庭用品にも使われています。代表的なものとしては、SUS430が挙げられます。

マルテンサイト系

炭素0.1~0.4%、クロム12~18%を含むステンレス鋼もあります。熱処理でマルテンサイト組織を形成させ、高い硬度を持つのが特徴です。ただし、炭素量が少なく耐食性はやや劣ります。表面に鉄などが付着すると「もらい錆」を起こす可能性があるので注意しましょう。

ステンレス鋼の中では特に硬く、硬度が必要な機械部品に適しています。耐熱性も優れているため、高温部分へ採用されることもあるでしょう。SUS403、SUS410、SUS630などがこれにあたります。

オーステナイト・フェライト系(二相系)

オーステナイト系とフェライト系の組織を併せ持つステンレス鋼を「二相系」と呼びます。この鋼材は、オーステナイト系の高い強度と耐食性を保ちつつ、弱点を克服した点が特徴です。具体的には、耐孔食性や耐応力腐食割れに対する耐性が向上しています。

特に塩化物環境への耐性に優れるため、海水関連機器や化学プラントで利用されることが多いでしょう。代表的な素材としてSUS329J1があります。

ステンレスのメリット

ステンレスのメリット

ステンレス鋼には、多くのメリットがあります。例えば、耐食性、耐熱性、強度が高いことなどが挙げられるでしょう。

中でも最大のメリットは、耐食性に優れ、錆に非常に強い点です。鉄は酸化による錆びが避けられない性質を持っています。しかし、製品作りには不可欠な素材です。ステンレス鋼は錆に強いため、屋内外を問わず様々な環境で活躍します。幅広い分野で使われており、私たちの生活に不可欠な金属材料と言えるでしょう。

また、熱を伝えにくい性質から、耐熱性や保温性にも優れています。このため、コップや水筒、高温になる化学プラント装置などに用いられるのです。

さらに、強度や硬度も高いという利点があります。その特性を活かし、ジェット機のタービンブレードやブレーキディスクといった重要部品に採用される場合もあるでしょう。

ステンレスのデメリット

ステンレスのデメリット

多くの製品に使われるステンレス鋼ですが、メリットばかりではありません。デメリットとして、一般的な鋼材より高価なこと、加工が難しい点が挙げられます。

加工が難しいのは、熱伝導率が低いからです。切削加工で発生した熱が逃げにくいため、工具の刃に負担がかかります。その結果、工具の寿命が短くなってしまうのです。

また、水素の影響で強度が下がる「水素脆性(すいそぜいせい)」という現象も起こりやすい特徴があります。鋼材は水素を取り込みやすい性質を持つのです。内部に水素が入ると強度が低下しますが、ステンレス鋼は特にこの影響を受けやすい鋼材と言えるでしょう。

水素脆性を防ぐためには、「ベーキング」という再加熱処理で水素を放出させます。加工法や種類で処理は異なりますが、一般的に190℃~220℃で2~24時間の再加熱が必要です。

これらのメリット・デメリットを理解し、適した環境や用途で使うことが大切になります。

身近なステンレス

身近なステンレスは以下のとおりです。

カテゴリ具体的な製品例
キッチン用品シンク、調理台、鍋、フライパン、やかん、包丁、スプーン、フォーク、ナイフ、おたま、ボウル、ザル、水切りかご、食器類、水筒、タンブラー、保温ポット、レンジフード
家電冷蔵庫(ドア表面、取っ手)、洗濯機(ドラム槽)、電子レンジ(内装)、食器洗い乾燥機(内装、カゴ)、炊飯器(内釜、外装)
建築・設備手すり、ドアノブ、建物の外壁・屋根材、エレベーター(内装、ボタン周り)、門扉、フェンス、窓枠(サッシ)、配管
日用品・雑貨腕時計(ケース、ベルト)、アクセサリー(ピアス、ネックレス)、メガネフレーム、魔法瓶、タンブラー、文房具(クリップ、定規の一部)
その他自動車部品(マフラー、ホイールキャップ、装飾部品)、鉄道車両(車体、内装)、医療器具(メス、注射針、ピンセット)、コインランドリーの洗濯機・乾燥機

まとめ

ステンレス鋼は、主成分の鉄にクロムなどを加えることで、その名の通り「さびにくい」特性を実現した合金です。しかし、単にさびにくいだけでなく、配合によって様々な種類があり、それぞれ得意な分野が異なります。用途に合わせた適切なステンレス選びが、製品の性能と寿命を左右する重要なポイントです。

株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。

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