【保存版】インコネルの特徴5選|種類や用途についても解説

  • 「インコネルの特徴が知りたい」
  • 「インコネルってどんな種類があるのかな?」
  • 「インコネルって何に使われているのかな?」

などとお考えではありませんか?

本記事では、インコネルの特徴と併せて、インコネルの種類や用途について解説します。

最後まで読むと、インコネルの特徴が理解でき、加工依頼ができます。

この記事の監修者

藤原 弘一

1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。

保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士

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インコネルとは

インコネルとは

「インコネル」とは、高温環境下での耐熱性、耐蝕性、耐酸化性に優れる特別な超耐熱合金です。

この合金は、高い耐熱特性を生かして、工業プラント、廃棄物焼却炉、航空機エンジンなど様々な用途で利用されています。

また、インコネルはその強度の高さから加工が困難であり、難削材に分類されています。

特に、切削加工においては、最も加工が難しい合金の1つです。

インコネルの特徴5選

インコネルの特徴5選

インコネルの特徴は以下のとおりです。

  • 耐熱性が高い
  • 耐食性が高い
  • 切削加工が難しい
  • 加工硬化が起こりやすい
  • 刃先に溶着しやすい

順番に解説します。

【特徴①】耐熱性が高い

インコネルは、約700℃という高温下でもその強度を保持できる特性を持つ合金です。

一般的な耐熱性を持つステンレス鋼は、およそ500℃までの温度で強度を維持します。

このため、エンジン部品など高温にさらされる環境に特に適した素材として、インコネルは広く利用されています。

【特徴②】耐食性が高い

通常の金属は高温に長時間さらされると腐食しやすくなる傾向がありますが、インコネルは約1000℃までの高温でも顕著な耐腐食性を保持します。

この高い耐腐食性は、ステンレス鋼と同じく、クロムなどの成分が作用して表面に保護的な不動態皮膜を形成することによるものです。

インコネルは水や酸、アルカリ性物質に対しても強い耐性を示し、これらの環境下での錆や腐食の進行をほぼ防げます。

【特徴③】切削加工が難しい

インコネルは、その切削加工の困難さから難削材の一種とされています。

この素材はステンレス鋼と似ており、加工時に力が加わると硬さが増す「加工硬化」現象が起きます。

さらに、インコネルは熱伝導率が低いため、加工時に生じる熱が工具に集中しやすく、これが加工上の問題を引き起こす原因となります。

このため、インコネルの加工には、加工条件に対する慎重な注意が必要です。

【特徴④】加工硬化が起こりやすい

金属が外力を受けるとき、その変形は弾性変形と塑性変形の二つに区別されます。

ある一定のひずみが超えられると、金属は弾性変形から塑性変形へと移行するのが特徴です。

加工硬化とは、塑性変形により金属内の原子配列が乱れることで、さらなる弾性変形や塑性変形が起こりにくくなる状態を指します。

この加工硬化が特に顕著に起こる素材として、インコネルが知られています。

【特徴⑤】刃先に溶着しやすい

インコネルの加工時には、ドリルやその他の切削工具の素材との相互作用が高いのが特徴です。

そのため、加工過程で生じる金属粉が刃先に溶着しやすく、結果として刃の鋭さが減少し、加工品質が低下することがあります。

さらに、刃物の鋭さの低下は加工時の熱の発生を促進し、これが工具の破損につながるでしょう。

このため、溶着を防ぎ、加工熱を抑制するために、クーラントや切削液の使用が推奨されます。

関連記事:ハフニウムの特徴|用途や現状、メリット・デメリットについても解説

インコネルの種類

インコネルの種類

インコネルの種類は以下のとおりです。

  • インコネル600
  • インコネル625
  • インコネル718
  • インコネルX750

順番に解説します。

インコネル600

インコネル600はその広範囲にわたる耐腐食性能で注目されています。

この合金は特にアルカリ性溶液や酸化環境に対して高い耐性を持っており、これはニッケルとクロムの高い含有率に起因しています。

アンモニアに対する強い耐性を有し、塩素イオンによる応力腐食割れや、乾燥した塩素または塩化水素に対する腐食にも強い耐性を示します。

インコネル625

インコネル625の顕著な特徴は、塩化物溶液中においても孔食や隙間腐食に非常に強いことです。

高い耐腐食性は、主にクロムとモリブデンの含有によるもので、この合金は高温海水、汽水、および酸化性化学薬品に対しても優れた耐性を持っています。

さらに、ニオブの添加により、熱処理や溶接後に生じる粒界腐食(粒間割れ)のリスクを軽減できます。

インコネル718

インコネル718は、クロムとモリブデンを高濃度で含有しており、これによって高温および低温条件下での孔食や腐食に対する強い耐性を備えています。

この合金は塩化物イオンによる応力腐食割れや溶接時の割れにも耐性があり、これは大きな利点です。

さらに焼鈍処理を行った後の加工性の良さも、インコネル718の重要な特性の1つです。

インコネルX750

インコネルX750は、高温だけでなく低温環境下でも幅広い種類の腐食に対して優れた耐性を持ち、応力腐食割れへの強さも特筆すべき特徴です。

析出硬化処理によりこの合金は高硬度を達成し、引張り強度や破断強度、耐クリープ性、耐酸化性など、高温環境での性能も非常に優れています。

関連記事:【保存版】タングステンの加工方法|用途や特徴も解説

インコネルの用途

インコネルの用途

インコネルは、その耐熱性と耐久性の高さから、自動車のエキゾーストマニホールド(エキマニ)やマフラーなどに使用されることがあります。

しかし、一般の自動車において純正マフラーにインコネルが使用されることは稀です。

主に一部の高級車やスポーツカーで見られます。

特にレースカーの分野でインコネル製のマフラーやエキマニの使用が一般的です。

レースカーでは高回転のエンジンにより高温が発生し、マフラーに大きな負荷がかかるため、インコネルのような耐熱性に優れた材料が求められます。

チタンと比較して重量はやや増えますが、インコネルは耐久性に優れており、薄肉加工による軽量化と良好なサウンドも実現可能です。

自動車の分野においては、エンジン部分をはじめ、マフラーやエキマニなど、特定の要件が求められる部分でインコネルが選ばれることが多い傾向があります。

その他の用途でも、環境に合わせてインコネルが活用されています。

重要な部品に使用されることが多いのは、インコネルが持つ特有の特性に由来しています。

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インコネルの加工時の注意点

インコネルの加工時の注意点

インコネルはその硬さと高耐熱性のため、加工には特別な注意が必要な合金です。

たとえば、インコネル600を加工する際には、柔らかすぎる工具を使用すると、表面の剥離や摩耗が生じる恐れがあります。

切削量が過大だと表面に傷がつく可能性もあります。

インコネル718の加工では、大きな切削力が発生するため、工具の刃先が破損したり、切削が困難になったりすることがあります。

このため、加工前には工具の選択や調整が必要です。

インコネル825は高温環境での使用が多いため、加工時には冷却が欠かせません。

切削速度が遅すぎると、表面に欠陥が生じることがあります。

インコネルX-750は硬度が非常に高く、切削力も大きいため、適切な工具の選択と加工量の調整が必要です。

加工中には、冷却を継続し、刃先を定期的に交換することが重要です。

まとめ【インコネルの特徴を理解しましょう】

今回は、インコネルの特徴と併せて、インコネルの種類や用途について解説しました。

インコネルの特徴は以下のとおりです。

  • 耐熱性が高い
  • 耐食性が高い
  • 切削加工が難しい
  • 加工硬化が起こりやすい
  • 刃先に溶着しやすい

1つひとつ理解しましょう。

株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、インコネル・チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。

時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。

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