難削材とは?3つの特徴や切削条件について解説

  • 「難削材って具体的になんのことだろう?」
  • 「難削材の切削条件が知りたい」

こんな疑問はありませんか?
どんな金属が難削材かわからないと理想の発注はできません。

本記事では、難削材の概要と併せて、難削材の特徴や切削条件、難削材が求められる理由について解説します。

最後まで読むと、難削材について理解が深まり、理想の加工ができます。

この記事の監修者

藤原 弘一

1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。

保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士

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難削材とは

難削材とは

難削材は、その名の通り加工が難しい素材のことを指します。

以前はステンレス鋼などもこのカテゴリに含まれていましたが、最新の切削技術や機械の進化により、その範疇からは外れるようになりました。

難削材は、その特性に応じていくつかのグループに分けられます。

例えば、熱をなかなか伝えない超耐熱合金やチタン合金、伸びやすい純ニッケルや純銅、そして硬くてもろいセラミックスやガラスなどがあります。

これらの材質は、それぞれ異なる加工方法や機器を必要とします。

難削材の加工の課題は、従来の知識や経験が適用されにくいことにあります。

難削材の切削条件

難削材の切削条件

難削材の切削条件は以下のとおりです。

  • 工作機械の剛性
  • 保持具の剛性
  • 切削速度
  • 切削工具

工作機械の剛性

工作機械の剛性は、加工精度のキーとなる要素であり、これが不足していると高品質の仕上がりを期待することは難しいでしょう。

軽量な工作機械は、重い材料の加工や高速での作業時に機械が振動してしまい、結果として精密な加工が難しくなります。

また、機械の設置にも注意が必要で、不適切な取り付けは振動の原因となり得る。

そのため、重さがあり、しっかりとした設置が可能な工作機械が理想的である。

保持具の剛性

保持具の剛性は、切削工具を固定する部分の性質であり、これが振れや送りの精度に直結する要因となっています。

切削速度

加工する際、切削速度を高めることで理論上は仕上げ面が滑らかになると考えられるが、実際には機械の剛性の欠如が原因で被削物が振れたり、切削面での摩擦が生じることで、逆に仕上がりが劣化する場合があります。

そのため、各機械の固有の剛性や加工対象の材料の特性に応じて、適切な切削速度を選ぶことが非常に重要となります。

切削工具

実際に加工作業を担当するのが切削工具で、様々な切削条件を調整することで、難しい材料の加工も実現できます。

工具のチップとして選ばれる材質は、高い温度でも硬さを維持できるものが求められ、その代表例としてCBN焼結体が挙げらます。

また、最近では、耐摩耗性や高温硬度に優れたコーテッド超硬合金も注目されています。

被削物の特性に合わせて最適な材質を選定することが大切です。

さらに、加工困難な材料の場合、切削抵抗を減少させるために、ポジティブなすくい角を持った工具が効果的であるとされ、その際には高靭性の超微粒子合金やコーテッドハイスが多く選ばれることが多いでしょう。

関連記事:チタン切削が難しい理由とは|加工をする際の気を付けるポイントも解説

難削材の3つの特徴

難削材の3つの特徴

難削材の3つの特徴は以下のとおりです。

  • 被削性の不明な材料
  • 素材自体が削りにくい
  • 加工時に発火・引火する可能性が高い材料

被削性の不明な材料

インコネルやハステロイのように、切削データが不足しているまたはまったく存在しない新しい素材が該当します。

素材自体が削りにくい

通常、硬い材料特性(例:ステンレス、チタンなど)が難削性をもたらします。しかし、例外的に、純アルミニウムの1000番台のような柔らかい素材も難削材として分類されます。

加工時に発火・引火する可能性が高い材料

マグネシウムのように、着火した際に強烈に燃え上がる、加工時に危険を伴う可能性のある素材が対象となります。

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金属の難削材4選

金属の難削材4選

金属の難削材4選は以下のとおりです。

  • チタン
  • インコネル
  • ステンレス
  • マグネシウム

チタン

チタンは難削材の一つで、切削加工には難しさが伴います。

これは熱の伝わりにくさや工具との高い親和性から来るもので、加工中の切り粉がビビりを引き起こす原因となったり、工具との間で化学反応を起こすリスクがあります。

また、切削や研磨によって生じる切り粉は発火性があるため、その取り扱いや管理には慎重さが求められます。

一方で、チタンは軽量で高温にも耐え、引っ張る力にも強い特性を持っています。

さらに、耐腐食性にも秀でており、海水にさらされるような環境でもその特性を発揮します。

これらの特長から、キッチンツールやジュエリー、自動車のエンジン部品やゴルフクラブといった身近なアイテムにも広く用いられています。

インコネル

主にニッケルをベースに、クロム、鉄、炭素などを含むインコネルは、高温環境での優れた強度と低い熱伝導率から、加工が非常に難しいとされる材料です。

工具との相性も強く、ステンレスやチタンのように広範囲で使用されているわけではないため、切削データも乏しく、実際の加工時には試行錯誤が求められます。

インコネルは高温時の耐久性や耐酸化能力、そして変形しにくい特性が高く評価されています。

そのため、原子力発電所の特定の設備や廃棄物焼却炉、水処理施設における用途や、ジェットエンジンや高性能車の部品としての利用が増えています。

ステンレス

インコネルは、ニッケルをベースにクロム、鉄、炭素を組み合わせた高性能合金です。

この合金の最大の特徴は、その卓越した高温強度と低熱伝導率にあり、これが切削加工を難しくする主な要因となっています。

多くの工具との相性が良くないため、ステンレスやチタンのような広範なデータベースが存在しないインコネルの切削は、専門知識と経験が必要です。

インコネル合金は、その驚異的な耐熱性、耐酸化特性、および耐変形能力で知られています。

これらの特性は、原子力発電所や廃棄物焼却炉、さらには高度な水処理施設での使用に最適です。

また、ジェットエンジンやハイパフォーマンスなスポーツカーの部品としての需要も高まっています。

このように、インコネルは多岐にわたる産業分野でのキーコンポーネントとして位置づけられています。

マグネシウム

マグネシウムは、炎に接触すると猛烈に燃焼する危険性を秘めた金属であり、高温時の水との接触は可燃性ガスの発生の原因となります。

これにより、火や水が近くにある環境での加工は避けるべきであり、換気と残留する切り粉の整理に関しても厳格な管理が求められます。

しかし、このマグネシウムが持つ独特の特性を乗り越えると、極上の実用金属としての価値を発揮します。

なぜなら、実用金属の中でトップクラスの軽さを誇り、鉄やアルミよりも優れた剛性と強度を持ちながら、加工のしやすさも併せ持っているからです。

現在、アルミや亜鉛を混ぜて作られる合金は、自動車部品からノートパソコン、スマートフォン、一眼レフカメラの外装、そして杖や車いすといった福祉用具まで、幅広いアイテムに採用されています。

その他の難削材

その他の難削材

加工の現場で遭遇する難削材の多様性は、製品開発の中核をなしています。

超硬合金はその代表格で、一般的な金属よりも硬さが際立ち、その結果、ドリルの刃がすぐには通らない挑戦的な材料です。

また、私たちの日常に欠かせないガラスも、難削材のカテゴリーに位置します。

その硬脆性から、加工中の破損リスクが高まり、一筋縄ではいかない素材と言えるでしょう。

金属の多様性は加工の難易度を増すだけでなく、それぞれの特性を活かした製品への可能性も拡大しています。

品質と機能性の追求は、今の製造業のキーワードです。硬い素材は、適切に加工すれば高い強度を持つ製品の誕生を約束します。

さらに、熱耐性を持つ金属は、キッチン機器や自動車エンジンなど、高温環境での使用に適しています。

このように、難削材の効果的な加工は、製品の付加価値を高める鍵となります。

そして、それは最終的に、消費者のニーズに対応する高品質な製品を市場に提供する道を切り開きます。

難削材が求められる理由

難削材が求められる理由

難削材の活用は、現代のグローバル製造業にとって不可欠な要素となっています。

国内外を問わず、製品開発の舞台でその重要性は増しています。

高度に技術的で進化する業界、例えばハイブリッド車、燃料電池技術、航空宇宙産業、原子力技術といった分野で、高い付加価値を持つ製品の要として、軽量性、高強度、そして高耐熱性が常に求められています。

その答えとして前面に出てくるのが難削材です。この材料のマスタリーは、日本の製造業が世界の競争でリードするための核心要素となります。

今後、高い付加価値を持つ製品の需要が増す中、難削材の効果的な利用は、日本のものづくりがグローバル市場での一歩をリードする上で、絶対的な要となるでしょう。

まとめ【難削材の特徴を理解してから加工依頼しましょう】

今回は、難削材の概要と併せて、難削材の特徴や切削条件、難削材が求められる理由について解説しました。

難削材は、その名の通り加工が難しい素材のことを指します。

この記事を参考にぜひ難削材の加工依頼をしてください。

株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。

時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。

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