【9割が知らない】アルミニウムの特徴10選|使用する際の注意点も解説
アルミニウムがなぜ現代社会においてこれほどまでに重宝されるのか、その答えがここにあります。
軽くて強く、耐食性に優れ、加工もしやすい—アルミニウムの持つ多彩な特性は、輸送から建築、電子機器まで、幅広い分野での使用を可能にしています。
この記事を通じて、アルミニウムの魅力とその用途の多様性を理解し、あなたのプロジェクトや製品選定に役立つ知識を得ることができます。
また、アルミニウムの環境に優しいリサイクルプロセスや、安全性に関する最新の科学的見解も探ります。
この素材がどのようにして現代の技術と環境にフィットするのか、その全貌を明らかにするために、ぜひ読み進めてください。
この一読で、アルミニウムに対する理解が深まり、賢い選択が可能となるでしょう。
この記事の監修者
藤原 弘一
1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。
保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士
目次
アルミニウムとは
アルミニウムは原子番号13の元素で、記号はAlです。
地球の地殻において最も豊富な金属元素であり、酸素やケイ素に次いで第三位の存在比率を持ちます。
銀白色で非常に軽く、柔らかい金属であり、その特性から多岐にわたる用途があります。
アルミニウムの歴史
アルミニウムの発見は科学界の大きな転機となりましたが、この軽量で用途の広い金属が実際に認識されるまでには、200年ほどの時間がかかりました。
その主な理由は、アルミニウムが自然界において天然の純金属として存在しないためです。
代わりに、この元素はさまざまな鉱石や土の中で化合物の形で見つかり、純粋な形での抽出が困難でした。
この金属が科学的に認識されたのは1807年、英国の著名な電気化学者ハンフリー・デービーによってです。
デービーは電気分解を用いて明ばん石(現在では硫酸アルミニウムとして知られる)から未知の金属を抽出し、「アルミアム」と名付けることで、アルミニウムの存在を世に知らしめました。
さらに科学の進展を経て、1825年にはデンマークの物理学者ハンス・クリスチャン・エルステッドが塩化アルミニウムからアルミニウム金属を初めて単離することに成功しました。
エルステッドのこの功績は、アルミニウムを実用的な金属として利用する道を切り開きました。
アルミニウムの発見とその後の工業化は、現代社会において不可欠な素材へと成長する基盤を築きました。
この軽量で汎用性の高い金属がどのようにして現在の地位を築き上げたのかを理解することは、科学史における興味深い探求の一つです。
関連記事:アルミニウムの加工方法|種類や加工する際のポイントも解説
アルミニウムの特徴10選
アルミニウムの特徴は以下のとおりです。
- 軽量
- 強い
- 耐食性に優れている
- 磁気を帯びない
- 電気伝導性
- 熱伝導性
- 加工しやすい
- 再生しやすい
- 見た目が美しい
- 反射性
順番に解説します。
【特徴①】軽量
アルミニウムは、その比重が約2.7とされ、鋼に比べて大きく軽い特性を持っています。
この特徴を活かし、多岐にわたる分野で重宝されています。
輸送産業では、その軽さが燃料効率の向上に貢献し、航空機、人工衛星、新幹線などの重要な素材として選ばれています。
また、建築物の材料としても、アルミニウムはその耐久性と軽量性で好まれ、現代の建築技術に欠かせない存在です。
電子機器の分野においては、スマートフォンを含む多くのモバイルデバイスで、その軽量でありながら頑丈な特性が求められ、アルミニウムが広く採用されています。
このように、アルミニウムは軽量ながらも優れた物理的特性を備えており、輸送機器から建築、電子機器に至るまで、広範囲にわたって利用されているのです。
【特徴②】強い
純粋なアルミニウムに異なる金属を混ぜて合金を作ることにより、密度に対する引っ張り強度、すなわち比強度を向上させられます。
この方法により、7000番系合金など、亜鉛とマグネシウムを加えて熱処理を施した特に強度が高い合金が開発されています。
その中でも、航空機の部品製造にも使用されるA7075(別名:超々ジュラルミン)は、その顕著な強度で知られています。
【特徴③】耐食性に優れている
アルミニウムは空気に触れると、ステンレス鋼と同じように表面に酸化膜を生成します。
この薄い保護層が、錆や腐食の問題から金属を守ります。
この特徴を生かして、アルミニウムは建築業界、自動車製造、海洋資源の探求など、さまざまな領域で広く利用されています。
【特徴④】磁気を帯びない
アルミニウムは磁気を帯びない非磁性材料であるため、磁場の影響を受けず、その性質を損なうことがありません。
この特徴から、アルミニウムはパラボラアンテナ、医療用機器、船舶用の磁気コンパス、超伝導技術に関連する製品など、多岐にわたる用途で活躍しています。
さらに、金、銀、銅などの他の非磁性金属と比べてコストが低いという点も、アルミニウムが広く利用される大きな理由です。
【特徴⑤】電気伝導性
アルミニウムの導電率は銅の約60%にとどまりますが、その軽い比重のおかげで、銅の半分程度の重さで同じ量の電力を伝えることが可能です。
この利点を活かし、高電圧送電線のほとんど(約99%)でアルミニウムが使用されているのです。
【特徴⑥】熱伝導性
アルミニウムは鉄の約3倍の熱伝導性を持ち、この特性が高い熱伝達能力を意味します。
このため、自動車の冷却システムであるラジエーターや、電子機器の熱を逃がす放熱器にアルミニウムが好んで使われています。
【特徴⑦】加工しやすい
アルミニウムはその加工性の高さから、幅広い製造技術に適応します。塑性が良く、延伸性に優れているため、形を変えやすく、低い融点と優れた流動性により鋳造への適合性も高いです。
また、切削や溶接が容易であるため、アルミニウムは様々な加工手法を通じて、薄いアルミホイルから複雑な形状の部品に至るまで、多様な製品に加工されています。
【特徴⑧】再生しやすい
耐久性が高く長期間にわたって品質を保持するアルミニウムは、その低い融点のおかげで、使用済みの製品も溶解して再利用することが容易です。
驚くべきことに、新しいアルミニウムを製造する際に必要なエネルギーのわずか3%でリサイクルが可能であり、再生されたアルミニウムの品質は新品と比較してもほとんど劣ることがありません。
【特徴⑨】見た目が美しい
アルミニウムはそのままでも魅力的な外観を持つ素材ですが、アルマイト処理のような表面加工を行うことで、その美しさをさらに引き出せます。
電解着色を施せば、様々な色彩を追加することも可能となります。
このような高いデザイン性から、アルミニウムは建築の外装や包装材料など、見た目が重視される用途に広く利用されています。
【特徴⑩】反射性
アルミニウムは光や熱を含む赤外線や紫外線の反射に優れています。
純度を高めたり、表面に鏡面処理を施すことにより、その反射効率をさらに向上させることが可能です。
この独特の特性を活かして、アルミニウムは家庭用の暖房器具や照明器具から、宇宙服の製造に至るまで、幅広い分野で使用されています。
アルミニウムを使用する際の注意点
アルミニウムを使用する際の注意点は以下のとおりです。
- 線膨張係数が大きい
- 腐食が発生する(条件による)
- 鉄鋼材料と比較すると、強度が低い
順番に解説します。
【注意点①】線膨張係数が大きい
アルミニウムは、鉄系の材料と比較して約2倍の線膨張係数を持ちます。
このため、加熱や冷却の過程で生じる大きな熱応力により、特に温度変化が頻繁に起こる部品では、熱疲労に起因する損傷のリスクが考えられます。
【注意点②】腐食が発生する(条件による)
アルミニウムは通常、錆びに強い材料として知られていますが、塩分濃度が高い環境や異なる種類の金属と接触した際には腐食する恐れがあります。
このような腐食を防ぐために、アルマイト処理などの表面加工が施されることがあります。
【注意点③】鉄鋼材料と比較すると、強度が低い
アルミニウムは密度に対する強度、すなわち比強度が高いものの、鉄や鋼と比較すると全体の強度は劣る場合があります。
このため、柔軟性が求められる飛行機の翼などの用途に適していますが、高い強度が必要とされる歯車などの部品製造には不向きです。
アルミニウムの毒性
ラットを用いた動物実験では、アルミニウムを多量に投与したときに腎臓や膀胱への影響や握力の低下などが認められています。
食品の安全性を評価している国際機関(JECFA:FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)※では、人が一生涯摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される暫定的な許容量(暫定耐容週間摂取量)として、体重1kg、一週間当たり、2mgという値を設定しています。
なお、一時期、アルツハイマー病とアルミニウムの関係があるといった情報もありましたが、現在は、この因果関係を証明する根拠はないとされています。
アルミニウム加工時の注意点
アルミニウムを加工する際の注意点について、異なる表現で説明します。
傷つきやすさ: アルミニウムは比較的柔らかく、強度が低いため、傷や凹みが付きやすい材質です。特に外装部品として利用されることが多いので、取り扱いや作業環境の管理には細心の注意を払う必要があります。
加工の難易度: アルミニウムは展延性があり、融点も比較的低いため、切削加工時にはチップの溶着や刃先の損傷が起こりやすいです。これにより精密な加工を実現するためには、適した切削工具や加工条件の選定が重要となります。
酸化と溶接の課題: アルミニウムは空気と接触すると酸化被膜を容易に形成し、これが溶融加工を困難にします。酸化被膜の形成により特定のシールドガスの使用が必須となり、また低い融点のために溶接が難しいとされています。
アルミニウムの沸点
アルミニウム合金の融点について、各番台ごとの特徴を簡潔に説明します。
1000番台: 純アルミニウムを含むこのシリーズは、純度が99.00%以上で、高純度の例(99.996%)の融点は660.4°Cですが、純度が低いものは650°C前後の融点を持ちます。
2000番台: このシリーズはアルミニウムと銅の合金であり、融点は500°Cから640°Cの範囲で、他の合金と比べて低めです。
3000番台: アルミニウムとマンガンの合金で、融点はだいたい640°C前後です。
4000番台: アルミニウムとシリコンを含む合金で、比較的低温度の530°Cから570°Cで溶けます。
5000番台: アルミニウムとマグネシウムが組み合わさった合金で、融点は570°Cから650°Cの範囲に広がっています。
6000番台: アルミニウム、マグネシウム、シリコンの組み合わせで、融点は580°Cから650°Cまでです。
7000番台: アルミニウムに亜鉛とマグネシウムが加えられた合金で、480°Cから640°Cと最も広い範囲での融点を示します。
まとめ【アルミニウムの特徴を把握しましょう】
今回は、アルミニウムの特徴10選と併せて、アルミニウムを使用する注意点について解説しました。
アルミニウムの特徴は以下のとおりです。
- 軽量
- 強い
- 耐食性に優れている
- 磁気を帯びない
- 電気伝導性
- 熱伝導性
- 加工しやすい
- 再生しやすい
- 見た目が美しい
- 反射性
それぞれ理解してから加工依頼しましょう。
株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、アルミニウム・チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。
時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。
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