モリブデンの特徴と用途を徹底解説|高性能金属の魅力とは
「モリブデンの特徴ってなんだろう?」
「モリブデンって何に使われているのかな?」
このような悩みを解決できる記事となっています。
ご紹介する「モリブデンの主な用途」を読むと、何に使われているかわかります。
ぜひ最後まで読み進めてみてください!
この記事の監修者

藤原 弘一
1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。
保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士

モリブデンとは?

モリブデンという元素は、輝水鉛鉱(きすいえんこう)から見つかりました。
魅力とは黄と結合しやすい特徴を持ち、工業用では合金鋼(ステンレス等)や電子材料に使われます。
私たちの体内でも重要な働きをする物質です。代謝に関わる酵素の構成成分として、主に肝臓や腎臓に分布しています。
分類上は重金属です。しかし、毒性は比較的低いと考えられています。そのため、過剰摂取による健康障害が起こることは、ほとんどないと言えるでしょう。
モリブデンの主な特徴

モリブデンの主な特徴は以下のとおりです。
- 耐熱性・高融点(2,623℃)
- 優れた耐腐食性・化学的安定性
- 高強度・高硬度
- 電気・熱伝導性の良さ
順番に解説します。
耐熱性・高融点(2,623℃)
モリブデンの最大の特徴のひとつが、融点が約2,623℃と非常に高いことです。
このため、高温環境でも変形や溶解しにくく、安定した構造を維持できます。
高温下での機械的強度にも優れており、ジェットエンジンの内部部品や電気炉のヒーター、真空装置の構造材など、過酷な熱環境に耐える用途で活躍しています。
熱膨張率も低いため、温度変化による歪みが少ない点も評価されています。
優れた耐腐食性・化学的安定性
モリブデンは酸やアルカリなどの化学物質に対して高い耐性を持ち、腐食しにくい金属として知られています。
酸化や還元といった化学変化に対する安定性も高く、化学プラントや医療機器、海水を扱う装置など、腐食リスクの高い環境で重宝されています。
また、クロムとともにステンレス鋼に添加することで、さらに高い耐腐食性を実現する補助元素としても活躍しています。
高強度・高硬度
モリブデンは常温でも高い引張強度と硬度を誇る金属です。
特に、高温になっても機械的性質が低下しにくいため、強度と耐久性が求められる用途に適しています。
工具鋼や構造材への合金添加材として用いられることで、耐摩耗性や疲労強度を向上させることができます。壊れにくく、長寿命な部品設計を可能にするため、重工業や航空分野などでの採用が進んでいます。
電気・熱伝導性の良さ
モリブデンは金属として優れた電気伝導性と熱伝導性を持ちます。
そのため、電気回路やヒーター部品、電子デバイスなど、効率的な電流・熱の伝達が求められる用途において重要な役割を果たします。
また、真空中でも安定して使用できるため、半導体製造装置や薄膜形成装置の電極材料としても活用されています。
放熱性と耐熱性のバランスの良さから、精密電子分野で注目を集めています。
モリブデンの主な用途

モリブデンの主な用途は以下のとおりです。
- 鉄鋼材料・合金添加材(モリブデン鋼)
- 電子部品・半導体分野
- 触媒(石油精製や脱硫処理)
- 医療・バイオ分野
順番に解説します。
鉄鋼材料・合金添加材(モリブデン鋼)
モリブデンは鋼に少量添加することで、耐熱性や強度、耐腐食性を飛躍的に向上させます。いわゆる「モリブデン鋼」は、自動車部品、航空機のエンジン部材、建設機械のフレームや構造材、工具鋼などに広く使用されています。
特に高温下でも安定した性能を発揮するため、過酷な環境での使用に適しています。さらに、水や酸に対する耐性も高く、長寿命化にも貢献しています。
電子部品・半導体分野
モリブデンは電気伝導性と熱伝導性に優れ、さらに真空や高温環境でも酸化しにくいため、電子部品や半導体製造に欠かせない素材です。
薄膜形成に適しており、ディスプレイの電極やプリント基板の配線、さらには有機ELのフィルム電極としても使用されています。高精度な加工が求められる半導体プロセスにおいては、モリブデンの安定性と純度が重要視されており、今後もニーズの拡大が見込まれます。
触媒(石油精製や脱硫処理)
モリブデンは、石油精製の過程で使用される「水素化脱硫触媒」の主成分としても活用されています。
この用途では、硫黄分を除去し、ガソリンや軽油の品質を向上させる重要な役割を担います。
特にコバルトやニッケルとの複合触媒として使われることが多く、環境基準の厳格化に伴って、より高度な脱硫処理が求められる中で、モリブデンの需要が高まっています。
省エネ・低環境負荷な技術の基盤とも言える素材です。
医療・バイオ分野
モリブデンは、医療機器や放射線遮蔽材、さらには抗菌材料としても注目されています。
放射線に対する遮蔽効果が高いため、X線装置の内部部品や、医療施設のシールド材として利用されることがあります。
また、微量元素としての生理的な重要性もあり、モリブデンは酵素の構成成分として体内で活躍しています。
さらに、一部の研究では、モリブデン化合物の抗菌・抗ウイルス性能についても報告されており、バイオ医療分野への応用が期待されています。
モリブデンの安全性・人体への影響

モリブデンは、人体にとって必須の微量元素のひとつで、代謝を助ける酵素の構成要素として重要な役割を担っています。
レバー、豆類、穀物などの食品に自然に含まれており、通常の食事から十分に摂取できます。
一方で、過剰摂取には注意が必要で、厚生労働省が定める耐容上限量は成人で1日2,000μgとされています。
サプリメントなどで極端に摂取しない限り、健康被害のリスクは低く、安全性の高い元素といえます。
よくある質問(FAQ)

Q. モリブデンは日常で使われていますか?
はい、モリブデンは実は私たちの身近な製品にも多く使われています。自動車のエンジン部品や建設機械、調理器具、医療機器、電子部品など、多くの金属製品に合金として含まれています。また、微量ながら食品にも含まれており、人体にとって欠かせない栄養素でもあります。
Q. モリブデンはリサイクルできますか?
モリブデンはリサイクル可能な金属です。特にモリブデンを含む鉄鋼や工具などのスクラップは、再資源化されて再び合金として利用されます。資源の有効活用と環境保全の観点からも、モリブデンのリサイクルは非常に重要です。リサイクル効率も比較的高いのが特徴です。
Q. モリブデンはどこで買えますか?
モリブデンは金属材料専門の販売業者や、工業用素材を取り扱う通販サイトなどで購入可能です。少量であれば理化学機器の通販サイトなどでも手に入ります。形状としては粉末、板材、棒材などがありますが、用途に応じて選ぶ必要があります。一般消費者向けよりも業務用が中心です。
Q. 純モリブデンと合金の違いは?
純モリブデンは99.9%以上の高純度で、主に半導体や高温部材など精密用途に使用されます。一方、モリブデン合金は、鉄やニッケルなどと混ぜることで強度や耐腐食性をさらに高めたもので、自動車や構造材、工具などの大量生産品に使われます。用途により使い分けがされているのが特徴です。
まとめ|モリブデンは高性能で多用途な金属素材
モリブデンは、耐熱性・耐腐食性・高強度・電気伝導性といった優れた特性を持つ金属で、自動車や航空機、半導体、化学プラントなど幅広い分野で活用されています。
さらに、人体に必要な微量元素でもあり、安全性の面でも安心できる素材です。
用途や特性を正しく理解することで、より効果的な素材選定や製品開発が可能になります。多機能なモリブデンは、今後ますます重要性が高まる注目の金属といえるでしょう。
株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。
時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。
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