【9割が知らない】インコネルとsusとの違い|選択のポイントも解説
「インコネル」と「SUS」の違いについて悩んでいませんか?
どちらも耐熱性や耐食性が求められる場面で使われる金属ですが、用途や性能に大きな違いがあります。
この記事では、インコネルとSUSの特徴や具体的な用途、高温や腐食環境での性能差、選び方のポイントまでを詳しく解説します。
例えば、「高温環境ではどちらが適しているのか」「腐食しやすい環境での選択肢は?」といった疑問に答えつつ、それぞれのメリット・デメリットも分かりやすく比較します。
この記事を読むことで、あなたの用途に最適な金属を選び、コストや性能面で後悔しない決定を下すための知識が得られます。
特に、産業用素材の選定で迷っている方にとって、この記事は信頼できるガイドになるはずです。
この記事の監修者
藤原 弘一
1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。
保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士
目次
【材料特性】インコネルとSUSとの違い
耐熱性
インコネル: 非常に高い耐熱性を持ち、850℃以上の高温環境でも優れた強度を維持します。
SUS: 通常のステンレス鋼は300〜600℃程度までの耐熱性で、インコネルほどの高温耐性はありません。
耐食性
インコネル: 塩化物、硫酸、海水などの腐食性環境で特に優れた耐食性を発揮します。
SUS: 一般的な腐食環境には強いですが、より過酷な条件下ではインコネルに及びません。
強度
インコネル: 高温下でも高い強度と靭性を保持します。
SUS: 温度が上がるにつれて強度が低下しやすい傾向があります。
関連記事:【保存版】インコネルとは?種類や特徴についても解説
【用途】インコネルとSUSとの違い
インコネルの主な用途
- 航空宇宙産業のジェットエンジン部品
- 原子力発電所の配管
- 化学プラントの反応槽
- 極限環境下の機械部品
SUSの主な用途
- 食品加工機器
- 建築材料
- 調理器具
- 一般的な配管や構造材
- 医療機器
【インコネルとSUSとの違い】選択のポイント
インコネルを選ぶべき場合
高温環境で使用する
インコネルは、800°C以上の高温に耐える優れた耐熱性を持っています。高温下でも強度を維持するため、ジェットエンジンやタービンブレードなど、極限の熱がかかる用途で使用されています。
腐食性の高い環境がある
海洋構造物や化学プラントなど、塩分や酸、アルカリにさらされる環境では、インコネルの優れた耐食性が信頼性を保証します。
極限条件下での信頼性が求められる
宇宙開発や原子力産業のような過酷な条件下でも、インコネルはその強度と耐久性で高い信頼性を提供します。
SUSを選ぶべき場合
コストを抑えたい
SUSはインコネルに比べて安価で入手可能です。予算を抑えつつ、ある程度の耐食性や強度を確保したい場合に適しています。
一般的な環境で使用する
日常的な環境や工業用途など、特別に過酷な条件がない場合には、SUSの汎用性が活きます。
日常的な用途に適用する
キッチン用品、建材、配管材など、広範な用途に利用されるSUSは、加工性にも優れています。
メリットとデメリットの比較
インコネルのメリット
高温・高圧環境での優れた性能
インコネルは、1000℃を超える高温環境でも物性が安定しており、航空宇宙産業や原子力分野での使用が一般的です。
耐高圧性にも優れており、高圧タービンや化学プラントの配管部品に最適です。
優れた耐腐食性
インコネルはニッケルを主成分とするため、酸性環境や塩化物が含まれる過酷な腐食条件でも長期間耐えることができます。
海洋構造物や化学プラントのような腐食性の高い環境においても信頼性が高い素材です。
強度が高い
高温下でも強度を保持するため、通常の金属が使用できない条件でも機能します。
インコネルのデメリット
価格が高い
インコネルは原材料コストが高く、製造工程でも高度な技術が必要なため、ステンレス鋼(SUS)よりもはるかに高価です。
特に大規模なプロジェクトでは、コストが大きな課題となる場合があります。
加工が難しい
インコネルは硬度が高いため、切削加工や溶接が困難で、専門的な設備と技術が必要です。
加工コストが増加し、製造期間も長くなる可能性があります。
SUS(ステンレス鋼)のメリット
汎用性が高い
SUSは、建築材、家庭用品、医療機器、食品加工設備など、幅広い分野で使用されています。
各種のグレードが存在し、用途に応じた選択肢が豊富です(例:SUS304、SUS316)。
コストが安い
SUSは、インコネルと比べて安価で入手しやすく、大量生産にも適しています。
小規模なプロジェクトや一般的な耐久性を求める用途ではコストパフォーマンスが非常に高いです。
加工性が良い
SUSはインコネルに比べて加工が容易で、一般的な切削工具や溶接技術で対応可能です。
そのため、中小規模の工場でも取り扱いが可能で、短期間での製造が可能です。
SUS(ステンレス鋼)のデメリット
過酷な環境では性能が劣る
SUSはインコネルに比べて耐熱性や耐腐食性が劣るため、1000℃を超える高温環境や塩化物の多い環境には適していません。
長期間の使用では、インコネルに比べて寿命が短くなる場合があります。
特定の環境での限界
強酸性の環境や高塩分環境では、腐食が進行する可能性が高くなります。
そのため、海洋構造物や化学プラントなどには適さない場合があります。
よくある質問(FAQ)
よくある質問は以下のとおりです。
- インコネルとSUSは併用可能ですか?
- SUS304とインコネルの違いは何ですか?
- 加工の難易度はどのくらい違いますか?
順番に解説します。
インコネルとSUSは併用可能ですか?
インコネルとSUSは一部の用途で併用可能ですが、使用する環境条件を慎重に確認する必要があります。
たとえば、温度差が小さい環境では併用が可能な場合がありますが、熱膨張率の違いによるストレスが発生する可能性があります。そのため、設計段階で材料特性を十分に考慮する必要があります。
特に、インコネルは優れた耐腐食性を持つため、塩化物や酸性環境下での使用が一般的ですが、このような環境でSUSを併用する場合、SUS部分が先に腐食してしまうリスクがあります。
また、異種金属を接触させる際には、ガルバニック腐食(電位差腐食)が発生する可能性もあるため、絶縁材を挟むなどの防止策を講じることが推奨されます。
SUS304とインコネルの違いは何ですか?
SUS304とインコネルは、それぞれ異なる特徴と用途を持つ金属です。
SUS304は、鉄を主成分とし、クロムやニッケルを添加した汎用性の高いステンレス鋼で、主に建築資材や家庭用品、医療機器などに使用されます。
一方、インコネルは、ニッケルを主成分とする耐熱合金であり、航空宇宙分野や原子力施設、化学プラントなどの高温・高圧環境で使用されることが多い素材です。
耐熱性の点では、SUS304は500〜800℃程度が使用の限界であるのに対し、インコネルは1000℃以上の高温環境でも性能を維持することができます。
また、耐腐食性においても、SUS304は一般的な耐食性を持つものの、塩化物環境では腐食が進行する可能性があります。
一方、インコネルは酸性や塩化物の多い環境でも高い耐久性を誇ります。
そのため、SUS304は日常的な用途に適しており、インコネルは特殊で過酷な条件下での使用に向いています。
加工の難易度はどのくらい違いますか?
インコネルとSUS304の加工難易度には大きな差があります。
SUS304は比較的加工が容易で、一般的な切削工具や溶接技術で問題なく加工することができます。
そのため、コストを抑えつつ短期間で製造できる点が特徴です。
一方、インコネルは硬度が高く、耐熱性にも優れているため、加工が非常に難しい素材です。
特に切削加工では工具の摩耗が激しく、適切な冷却や専用工具の選定が必要になります。
また、溶接時にも高度な技術が求められるため、加工費用や時間が増加する傾向にあります。
このように、加工のしやすさやコスト面ではSUS304が有利ですが、性能を優先する場合はインコネルを選択する価値があります。
まとめ|「インコネル」と「SUS」の違い:機械加工のプロの視点
インコネルとSUS(ステンレス鋼)は、それぞれ特定の環境や用途で重要な役割を果たす金属材料です。
インコネルは高温や腐食性の高い環境下での使用に特化しており、ジェットエンジンや化学プラントなど、極限条件下で高い性能を発揮します。
一方、SUSは汎用性が高く、食品加工や建築材など、日常的かつ一般的な用途に適しています。以下にその違いを簡潔にまとめます。
重要な違い
耐熱性
インコネルは850℃以上の高温環境でも強度を維持できるのに対し、SUSは300~600℃程度が限界です。
耐食性
インコネルは塩化物や酸性環境に非常に強く、海水や化学プラントなどで信頼性が高い素材です。SUSも一般的な腐食環境では有効ですが、過酷な条件下では劣ります。
加工性
SUSは一般的な工具や技術で加工が容易ですが、インコネルは硬度が高いため加工が難しく、専用の技術と設備が必要です。
コスト
インコネルは高価で加工コストも上がるため、大規模なプロジェクトでは費用面の課題となります。SUSは比較的安価で、汎用的な用途に適しています。
用途の違い
インコネル
航空宇宙、原子力、化学プラント、極限環境での使用に最適。
SUS
食品加工機器、建築材、調理器具、一般的な配管材など、日常的な用途に適用。
プロの視点から見ると、使用環境や加工技術、コストを総合的に考慮し、最適な材料を選ぶことが成功の鍵となります。
株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。
時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。
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