ステンレスが錆びる原因|錆び防止のための対策も解説

「ステンレスが錆びる原因が知りたい」

「錆び防止のための対策が知りたい」

などとお考えではありませんか?

本記事では、ステンレスが錆びる原因と併せて、ステンレスの種類と錆び防止のための対策について解説します。

最後まで読むと、錆び防止のための対策がわかり、事前に防げます。

この記事の監修者

藤原 弘一

1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。

保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士

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ステンレスが錆びる原因

ステンレスが錆びる原因

ステンレスが錆びる原因はいくつかあります。

  • 塩化物の付着
  • 付着物による錆
  • もらい錆
  • 塩酸や硫酸などが付着する

順番に解説します。

【原因①】塩化物の付着

海岸地域や人間の汗が触れるような環境では、さびが発生します。

これは、ステンレス鋼表面に付着した塩化物イオンが、表面の保護皮膜を不安定にし、さびの形成を促進するからです。

【原因②】付着物による錆

微細な砂やほこり、そして煤(すす)などがステンレス鋼に付着すると、さびの発生が引き起こされる可能性があります。

これらのさびは、付着物が酸素がステンレス鋼表面に到達しにくくさせ、それによって表面の保護皮膜が不安定化するか、または付着物が塩化物の付着を助長することで発生します。

【原因③】もらい錆

保管環境や使用環境により、他のさびやすい金属の鉄粉がステンレス鋼に付着し、さび(もらい錆)が発生することがあります。

これらのさびやすい金属は、付着した際に塩化物などの付着を助長し、結果としてステンレス鋼自体にもさびが発生します。

この現象は、鉄道や鉄工所の周辺などで特に起こりやすいです。

【原因④】塩酸や硫酸などが付着する

工場排ガスや排水、または温泉地の大気などに含まれる硫黄や酸などの物質が原因で起こるさびは、ステンレス鋼の不動態膜を損ない、腐食を引き起こします。

ステンレスの種類

ステンレスの種類

ステンレスの種類は以下のとおりです。

  • オーステナイト系
  • オーステナイト・フェライト系(二相系)
  • フェライト系
  • マルテンサイト系

順番に解説します。

【種類①】オーステナイト系

SUS304ステンレス鋼は、18%クロムと8%ニッケルを含むオーステナイト系のステンレスであり、その多機能性から多岐にわたる産業で広く利用されています。

この材料は特に延性と靭性が高く、冷間加工時の形成性が良好であり、深絞りや曲げ加工が容易です。

また、優れた溶接性と耐食性を持ち合わせており、低温から高温に至るまでの環境で安定した性能を発揮します。

そのため、SUS304は家庭用品、建築材料、自動車部品、化学プラント、食品加工設備、合成繊維製造、原子力発電所、LNGプラントなど、幅広い分野で重宝されています。

市場での利用形態としては、薄板が最も一般的ですが、厚板、棒鋼、パイプ、ワイヤー、鋳造品に至るまで様々な形状があります。

ステンレス製品全体の生産量の中で、SUS304は約60%を占めるほどの主力材料です。

また、析出硬化型ステンレス鋼は、熱処理(析出硬化処理)により非常に高い硬度を実現できる点が特徴です。

これにより、耐摩耗性や強度が必要な用途に最適です。

このような特性から、SUS304や析出硬化型ステンレス鋼は多様な工業アプリケーションに不可欠な素材として位置づけられています。

【種類②】オステナイト・フェライト系(二相系)

二相ステンレス鋼は、オーステナイトとフェライトの両方の金属組織を併せ持つ特殊なステンレスで、これにより独特の物理的特性が実現されます。

この材料は、フェライトとオーステナイトのそれぞれの特性を融合させ、中間的な性質を持ちますが、耐海水性や耐応力腐食割れ性に非常に優れており、高い強度も兼ね備えています。

これらの特性が二相ステンレス鋼を海水用復水器、熱交換器、排煙脱硫装置などの公害防止機器や、化学プラントの設備に理想的な材料として選ばれる理由です。

製品形状としては、主に厚板、管、鋳物などが製造されており、これらは特に過酷な環境や高い耐久性が求められる場所での使用に適しています。

二相ステンレス鋼のこのような用途の多様性は、その技術的利点とともに産業界で高く評価されています。

そのため、厳しい環境条件下での信頼性と耐久性を求める各種産業において、二相ステンレス鋼は非常に重要な役割を果たしています。

【種類③】フェライト系

SUS 430は18クロム系に分類されるステンレス鋼で、その代表的な特徴は熱処理での硬化がほとんど行われない点です。

通常、焼なまし(軟質)状態で使用され、マルテンサイト系ステンレスに比べて成形加工性や耐食性に優れています。

これらの特性から、SUS 430は一般耐食用途で広く活用されており、厨房用品、建築内装、自動車部品、ガス・電気器具の部品製造において特に重宝されています。

製品は主に薄板や線材の形状で提供されます。

さらに、製錬技術の進歩により、低炭素化が容易になったことでSUS430LX、SUS430J1L、SUS443J1などの新しい鋼種が登場しました。

これらは元のSUS 430よりも耐食性や成形加工性が向上しています。

また、SUS444やSUS447J1、SUSXM27といった高純度フェライトステンレスは、さらに高い耐食性を持ち、塩化物による応力腐食割れのリスクが低いため、温水機器や化学プラントなどの新たな用途での使用が拡大しています。

これらの進化したステンレス鋼種は、特に厳しい環境条件下での信頼性を高める材料として注目されています。

【種類④】マルテンサイト系

13クロム系ステンレスの代表種としては、SUS403とSUS410が挙げられます。

これらのステンレス鋼は焼入れによって硬化させることが可能で、適切な成分と熱処理条件の選択により、様々な物理的特性を得ることができます。

主に棒鋼や平鋼の形で利用され、これらの材料は高強度と耐食性、耐熱性を必要とする機械構造部品に適しています。

具体的な用途例としては、タービンブレード、ポンプ、シャフト、ノズルなどがあります。

さらに、13クロム系ステンレスの中でも、炭素量の少ないタイプはより高い耐食性を提供しますが、一方で炭素を多く含むタイプは耐磨耗性に優れています。

例えば、SUS420(13クロム高炭素)は刃物や外科用器具に使用され、最高レベルの硬さを持つSUS440(18クロム高炭素)は軸受やベアリングとしての用途に適しています。

これらの特性により、13クロム系ステンレスは工業用途や医療機器製造において幅広く活用されています。

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ステンレスの錆びにくい種類

ステンレスで錆びにくい種類

ステンレスで錆びにくい種類はSUSです。

SUSとは、Stainless Used Steelの略語で、200を超える種類のステンレス鋼を識別するために使われます。通常、「SUS304」などと表記されます。

鉄は錆びやすい素材ですが、クロムやニッケルなどの特定の金属を一定以上含む合金鋼にすることで、錆の発生を抑えることができます。

「ステンレス(Stainless)」の「Stain」は英語で「汚れ」を意味し、金属加工では一般的に「錆」を指します。

「less」は「ない」という意味です。そのため、「ステンレス」は「錆びにくい」という特性を示します。

ステンレス鋼は、含まれる金属の種類や比率によって特性が異なります。

そのため、異なる用途に応じて使い分けられ、各種類はSUSと番号で区別されます。

【ステンレス】錆び防止のための対策

【ステンレス】錆び防止のための対策

ステンレスの錆び防止のための対策は以下のとおりです。

  • もらい錆対策
  • 孔食対策
  • すきま腐食対策

順番に解説します。

【対策①】もらい錆対策

もらい錆は、特に海岸地帯や工業地域、鉄工所の周辺など、塩化物イオンや金属粉、砂などが付着しやすい環境で発生することが一般的です。

これらの物質が積もることで、ステンレス鋼や他の金属表面に錆が生じる可能性が高まります。

錆の予防には、付着物が定期的に除去される環境を保つことが効果的です。

例えば、雨水や洗浄を利用して、これらの異物を定期的に洗い流すことで、もらい錆のリスクを大幅に減らすことが可能です。

このため、対策としては環境の清潔保持が重要とされており、特に錆が発生しやすい場所では、適切な清掃スケジュールの維持が推奨されます。

【対策②】孔食対策

塩素イオンはステンレス鋼にとって重大な腐食原因とされており、ステンレス鋼の表面を保護する不動態被膜を孔状に損傷させることがあります。

このタイプの腐食を防ぐための効果的な対策には、以下の方法が含まれます。

まず、ステンレス鋼表面に付着した塩素イオンを定期的に洗浄し、表面に塩素イオンが滞留するのを防ぐことが重要です。

また、海水などの塩素イオンを含む液体の流速を一定以上に保つことで、腐食のリスクを低減できます。

さらに、モリブデンを添加したステンレス鋼や高クロム含有ステンレス鋼の使用も、耐腐食性を向上させるための有効な手段とされています。

これらの措置を講じることで、ステンレス鋼製品の長期的な耐久性と性能の維持に寄与します。

【対策③】すきま腐食対策

ネジ締め部分などでごくわずかな隙間が発生し、その隙間内が酸欠状態になることにより生じる特定の腐食現象について説明します。

この腐食は隙間腐食と呼ばれ、主に密閉された空間内で酸素が不足することにより発生します。

隙間腐食を防ぐための根本的な対策としては、構造設計を見直し、隙間が生じないようにすることが最も効果的です。

さらに、高クロムやモリブデン含有量が多い耐腐食性の高い素材を使用することや、隙間部分に特化した防食剤を適用することも、この種の腐食を抑制するための有効な方法とされています。

これらの措置により、製品の耐久性を高め、腐食による損傷のリスクを最小限に抑えることが可能です。

まとめ【ステンレスが錆びる原因を把握しましょう】

今回は、ステンレスが錆びる原因と併せて、ステンレスの種類と錆び防止のための対策について解説しました。

ステンレスが錆びる原因は以下のとおりです。

  • 塩化物の付着
  • 付着物による錆
  • もらい錆
  • 塩酸や硫酸などが付着する

原因を分析して、事前に対策しましょう。

株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、ステンレス・チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。

時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。

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