チタンの多様な用途と未来の可能性|メリット・デメリットも紹介

軽くて強い、しかも錆びにくいチタンはその優れた特性から多岐にわたる分野で使用されています。

でも、その具体的な用途をどれほど知っていますか?

あなたが日常生活や仕事で直面する「これ、もっと良い方法ないかな?」という問題を、チタンが解決するかもしれません。

この記事では、チタンの驚くべき用途を紹介し、それがどのようにして私たちの生活や産業に役立っているのかを解説します。

たとえば、航空宇宙産業ではチタンが重要な役割を果たし、私たちの飛行体験をより安全で快適にしています。

また、医療分野では、チタン製のインプラントが多くの患者さんの生活の質を向上させています。

この記事を読めば、チタンの持つ無限の可能性を理解し、あなたの仕事やプロジェクトにどう活かすことができるのか、具体的なアイディアが得られるでしょう。

チタンを使うことで得られるメリットを知り、あなたも今日からその恩恵を受ける一歩を踏み出しましょう。

この記事の監修者

藤原 弘一

1986年(有)藤原鉄工所(現フラスコ)入社、1992年代表取締役就任。
時代のニーズに適合した最新鋭設備と長年蓄積した職人技的加工技術を融合させ、顧客の信頼を築いた会社。

保有資格:司法書士、行政書士、宅地建物取引主任者、2級小型船舶、4級無線技士

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チタンとは

チタンとは

金属には「鉄」「銅」「アルミ」といった身近なものがありますが、銅は約6000年前、鉄は約4000年前から人々に利用されてきました。

一方、「チタン」という金属は、1790年にイギリスの海岸で初めて発見され、その5年後にはドイツの化学者が鉱石からチタン元素を抽出しました。

1910年にはアメリカの化学者が純度99.9%のチタンを抽出する技術を確立し、「金属チタン」として市場に登場しました。

特に1946年以降、チタンは産業や工業分野で広く利用されるようになり、実用化されてから70年が経過した今でも、その新しい可能性は探求され続けています。

銀灰色をしたこの金属は、元素記号「Ti」で知られ、軽量でありながら高強度、優れた耐食性を持つため、多くの先端技術で不可欠な材料とされています。

宇宙や航空機の材料から、多種多様なプラント設備や建築材料、さらには日常生活にも役立つ製品に至るまで、チタンの使用範囲とその夢のような可能性は広がり続けています。

チタンの用途

チタンの用途

チタンの用途は以下のとおりです。

  • 航空機分野
  • 一般産業分野
  • 建築分野
  • 自動車・二輪車分野
  • 民生品分野
  • 健康分野
  • 海洋土木分野

順番に解説します。

航空機分野

航空機の製造において、チタン材料は重要な役割を果たしています。使用されるチタン材料の種類には以下があります。

  • 純チタン
  • Ti-6Al-4V 合金
  • Ti-6Al-2Sn-4Zr-2Mo 合金
  • Ti-8Al-1Mo-1V 合金

特に、民間航空機のターボファンエンジンには、そのファンとコンプレッサー部分にチタン合金が採用されています。

これにより、かつて銅系素材で製作されていた機体に比べて、大幅な軽量化を実現しています。

一般産業分野

チタンは一般産業分野でも広く使われており、特に化学関連施設での採用が目立ちます。

例えば、電力プラントや海水淡水化プラントでは、復水器や海水淡水化装置にチタンが使用されています。

また、化学プラントでは、電極や貯蔵槽の製造にもチタンが利用されることがあります。

さらに、次亜塩素酸ソーダなどの腐食性が強い液体を運搬する際のタンクローリーにもチタンが用いられています。

この選択は、チタンの腐食に対する優れた耐性と高い強度によるものです。

これにより、より安全かつ効率的な輸送が可能となっています。

建築分野

建築分野でもチタンの利用が広がっています。

この金属は高い耐久性を持っているため、日本の伝統建築の屋根材に使用されることがあります。

さらに、その軽量性から、球体形の展望台などの構造材にも選ばれています。

また、チタンは発色が美しいため、建築のデザイン要素としても活用されており、その外観の美しさを引き立てています。

たとえば、ホテル・マルケス・デ・リスカルは、チタンの魅力を生かした建築の一例として知られています。

自動車・二輪車分野

自動車産業においても、チタンの軽量性と強度を活かして積極的に採用が進んでいます。

たとえば、自動車のエンジンバルブにチタンを使用することで、その軽量な特性が全体の重量削減に寄与しています。

さらに、二輪自動車の燃料タンクにチタンが使用される例もあります。

これにより燃料タンクの重量を減らし、車両の低重心化を実現し、運転の操作性を向上させています。

このようにチタンは、その優れた物性を生かし、自動車の性能向上に貢献しています。

民生品分野

日常生活におけるチタンの活用例は多岐にわたりますが、特にゴルフドライバーのヘッドにチタンを用いることで注目を集めています。

チタン製のドライバーヘッドは軽量でありながら耐久性に優れているため、ゴルフクラブの操作性を向上させ、ゴルファーがボールをより遠くに飛ばすことを可能にします。

また、チタンはテニスラケットや自転車のフレームにも使用され、これらのスポーツ機器の性能向上に寄与しています。

チタンの優れた特性が、さまざまな日用品の機能向上を支えていることが見て取れます。

健康分野

チタンはその生体適合性と無毒性により、医療分野で広く採用されています。

この金属は、人工骨、心臓弁、手術用器具といった重要な医療機器に利用されることが多く、金属アレルギーのリスクが低いため、患者にとって安全な選択肢とされています。

チタンの優れた特性が、医療技術の進展を支え、患者の健康と生活の質を向上させていることがうかがえます。

海洋土木分野

海洋土木プロジェクトにおいてチタンが選ばれる理由は、その卓越した耐食性と軽量性にあります。

例えば、滑走路の桟橋や東京湾横断道路の建設において、チタンは海水との直接的な接触に耐える必要があるため、理想的な材料として採用されています。

チタンの使用により、これらの構造物は長期にわたりその性能を維持し続けることが可能です。

このような耐久性は、海洋土木分野でのチタンの重要性を強調しています。

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チタンのメリット

チタンのメリット

チタンのメリットは以下のとおりです。

  • 高耐熱性
  • 低温靭性
  • 強度が高い
  • 高耐食性

順番に解説します。

高耐熱性

チタンは他の一般的な金属よりも高い溶解点を持つことで知られています。

例えば、鉄は約1530℃、銅は約1080℃、アルミは約660℃で溶けるのに対し、チタンの溶解温度は約1660℃に達します。

この高い耐熱性は、チタンを熱を多く扱う環境に適した素材として位置づけており、耐熱性が求められる多くの用途での利用が可能です。

低温靭性

チタンの特長の一つに、低温状態での急激な脆化が少ないことが挙げられます。

通常、鋼材は低温下で脆くなりやすいですが、チタンは低温でもその靭性を保持し、柔軟性があります。

この性質により、チタンは曲げても元の形状に戻りやすく、鉄の約2倍の復元力を持ちます。

このため、地震が頻繁に起こる日本では、建築材料としてチタンを使用することで、建物の安全性を高めることが期待されています。

強度が高い

チタンはその高い強度で知られています。

特に、ステンレス鋼に比べても、比重に対する強度が高いとされています。

この軽量性のおかげで、製品の全体重を減らすことができるため、航空機やロケットの部品製造において、チタンは重宝されています。

これらの用途では、強度と軽量性が非常に重要な要素であり、チタンの使用により、性能の最適化が図られています。

高耐食性

チタンの顕著な利点の一つは、その優れた耐食性です。

特に海水や塩水の環境に対して非常に強く、この耐食性はプラチナにも匹敵します。

鉄、銅、アルミニウムなどの他の主要金属と比較しても、チタンの性能は上位に位置します。

この特性を生かして、チタンは海洋構造物の建材として広く利用されています。

このような環境での使用に適しているため、チタンは海洋プロジェクトにおいて重要な役割を果たしています。

関連記事:チタンは錆びるのか?用途やメリット・デメリットを解説

チタンのデメリット

チタンのデメリット

チタンのデメリットは以下のとおりです。

  • 高価格
  • 加工が難しい
  • 工具の消耗が激しい

順番に解説します。

高価格

チタンはその製造過程が複雑であり、ステンレス鋼と比べると価格が約10倍近く高いとされています。

チタンの生産プロセスには、まずチタン鉱石から四塩化チタンという中間材料を生成し、その後「マグネシウム還元法」を用いてスポンジチタンを製造します。

この過程で、還元と真空分離を行うために大量の電力を消費し、これが生産性を制限し、他の金属材料と比較してコストが高くなる主要な要因です。

この高コストがチタン製品の価格に反映されています。

加工が難しい

チタンの低い熱伝導率のために、加工時に発生する熱が工具に蓄積しやすくなり、結果として切削刃に高い応力がかかります。

この状況は、工具の摩耗や破損を引き起こす可能性があります。

そのため、チタンの加工には特に高い技術と経験が必要とされます。

加工技術者は、これらの挑戦に対処するために、適切な方法と技術を駆使することが重要です。

関連記事:チタンの加工方法|特徴やメリットも詳しく解説

工具の消耗が激しい

チタンは引っ張り強度が高いため、加工する際に工具への負荷が非常に大きくなります。

これにより、工具の欠損や摩耗が頻繁に起こりやすい状況が生じます。

さらに、チタンの熱伝導率が低いため、加工中に生じる熱が工具内部に蓄積し、これが工具の過負荷や寿命の短縮につながることもあります。

このため、チタン加工には特別な技術と高品質の工具が必要とされます。

チタンの種類

チタンの種類

チタンの種類は以下のとおりです。

  • 純チタン
  • チタン合金

順番に解説します。

純チタン

日本で広く使用されているチタンの中で、純チタンが特に一般的です。

この純チタンは、微量の炭素や窒素などの不純物を含むものの、高い純度を持つためこの名前がついています。

純チタンはJIS規格(日本産業規格)で、鉄と酸素の含有量に基づいて1種から4種に分類されています。

1種は純度が99.5%で、鉄と酸素の含有量が最も少なく、柔らかさが特徴で主に工業製品に使われています。

2種は純度99.4%で、強度と加工性の良いバランスが取れており、広く利用されているタイプです。

一方、3種と4種は鉄と酸素の含有量が多いため、純度はやや低くなりますが、その分、強度や耐食性が向上しています。

チタン合金

チタン合金は、用途に応じてバナジウムやアルミニウムを添加して作られます。

これにより純チタンに比べて強度や耐食性が向上し、各メーカーが特有の技術でさらなる性能改善を図っています。

しかし、この種の合金は加工が複雑であり、そのため純チタンよりも価格が高く設定されています。

また、扱いにも特別な注意が必要とされることが、利用上の課題となっています。

関連記事:チタンの種類|メリット・デメリットや使用用途を詳しく解説

まとめ【チタンの用途しましょう】

今回は、チタンの用途と併せて、チタンのメリット・デメリット、チタンの種類について解説しました。

チタンの用途は以下のとおりです。

  • 航空機分野
  • 一般産業分野
  • 建築分野
  • 自動車・二輪車分野
  • 民生品分野
  • 健康分野
  • 海洋土木分野

それぞれ理解して、チタン加工の依頼をしましょう。

株式会社フラスコでは、昭和48年の創業依頼、一般産業用機械部品の設計・製作・組立をはじめ、チタンやタングステン、ジルコニウムなどの金属加工を行なってきました。

時代にニーズに合わせ、最新鋭の設備と創業から約40年間培った、難削加工を可能とする職人の加工技術で様々な製品を生み出しています。

他社には負けない、業界トップクラスの技術があります。

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